卓球王国 2024年4月22日 発売
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仲村渠功

ユニークな指導

前回の「恩師を忍ぶ」で紹介できなかった思い出深い事柄を記録しておきます。

今から50年前の訓練内容ですが、“発想の自由”と“独創的な考え”を重視したユニークな指導が思い出されます。

体力トレーニングがバラエティーに富んでいました。長距離のランニングが多かったのが思い出されます。体育館の扉を開けると直ぐ目の前が400メートルのトラック。ここを活用するコース。学校から少し離れた場所の精神病院の施設の裏山をクロスカントリーするコース。流石このコースでは、先を走る人の背中が見える距離を必死の思いでついて行くのがやっとで、その場所を走り去った後は心が弾む気分だったこと思い出します。

棒高跳び、走り高跳び、走り幅跳び、砲丸投げ、円盤投げも体力トレーニングのメニュの一つでした。
ソフトボールを使った守備練習では、ボールを投げる方向に体の正面と足のつま先を向ける(体の向きと足の使い方は、決定球を打つ時に応用)。
バスケットボールでは、パスの練習で腕力を鍛え、コート内のサークル部分を使った鬼ごっこでは敏捷性やバランスを。 ゴルフのスイングで重心の移動を。 ボクシングでは、パンチが目に当たらない距離(5cm位手前)を図った上で、パンチを出して貰い「目をつむらない、体を緊張させない(肩の力を抜く)」訓練。卓球の応用には台上又はネット際のボールを体全体を大きく使って打つことに依って、「相手に脅威を与え、腕や肩に瞬間的に力を入れさせる」効果があることにも応用。

マット運動(柔軟性、バランス)。縄跳び体操(バランス、瞬発力)。
筋力トレーニングでは(今ほど整った鉄アレイや器具も無く)、手製で改良したものを使った方法。自転車のゴムチューブを使い、1~2m後方から台に飛び込む瞬発力の訓練。歩行中や電車の中でもかかとを付けず歩くバランス訓練。車窓に見える電信柱や看板の文字を、頭を動かさず眼だけで追う・読む訓練。

技術練習ではネット際から卓球台の2~3m後方までの距離を5~6回大小のフォームを使い分けて移動する基本打法の練習。俗称「アコーデオン練習」だったり、今でこそ当たり前になっている「多球練習」もこの時代に取り入れてやっていました。
特に、体力面の強化も兼ねた内容が中心でしたが、卓球台を横にし、ネットの位置に半分の卓球台をセット(通常の2倍以上の広さ)して大きく動いての「飛びつき・回り込み」や「連続強打」の訓練です。

台風や悪天候で練習できない日以外、基本的に365日の練習でした。
月曜日は体を休める訓練日として設けられ、知識面で孫子の兵法、栄養の話、筋肉の話、興味のある話を。又、いつ提出していたか忘れましたが、多分金曜日提出した卓球日誌に先生からのコメントが書かれた日誌を返却して貰える日として、空いている教室で行いました。その後、ユニフォームに着替え、体育館で選手同士行うスポーツマッサージをする日です。 色々と経験しました。

ユニーク (ほかに類のないさま。独得。独自。ユニック。「~な考え」:広辞苑) な発想は、楽しいものだとこの時代に感じたものでした。

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