<卓球王国2022年8月号より>
近頃、ドニックが契約を結ぶヨーロッパの若手選手たちの間で人気が高まっている『ブルーグリップ』シリーズ。『ブルーグリップ』シリーズは粘着性のトップシートと、テンションスポンジを組み合わせた裏ソフトラバー。これまで4種類がラインナップされていたが、昨秋、ひっそりと新作『ブルーグリップ S2(以下:S2)』が登場した。
『S2』の特徴は柔軟性だ。他メーカーも含め、ドイツ製粘着テンションのスポンジ硬度は、ほとんどが40度台後半から50度以上。そんな中にあって『S2』は42.5度のスポンジを採用。「ソフトな粘着テンション」という新ジャンルのラバーになっている。
開発コンセプトをドニックジャパンの瀧澤光功さんに聞いてみた。
「位置付けとしては、とにかく扱いやすい粘着テンションを目指しました。他の粘着テンションに比べても、かなりスピン系テンションに寄った性能になっています。イメージとしては『ブルーストーム』シリーズと、従来の『ブルーグリップ』シリーズの中間のポジションですね」
また、『S2』はトップシートも他の粘着テンションに比べて軟らかく設計。重量の軽さも特徴のひとつだと瀧澤さんは語る。
トップシートの粘着は微々たるもので、使用感はほぼスピン系テンション。それでいて、意識せずとも粘着らしいクセ球も出る。
軟らかいラバーは扱いやすい反面、球威に押されやすくなるが『S2』はソフトでありながらも、打ち負けない強さを兼ね備えているという。つまり、「自分にとっては使いやすく、相手にとってはやりにくい」、そんなラバーなのである。
中国製粘着ラバーのような性能の、ゴリゴリの粘着テンションを求めるユーザーには物足りないラバーかもしれない。しかし、スピン系テンションを使いながら、球質にアクセントを加えたいユーザーには、ぜひ試してもらいたい一枚だ。
同時期に発売となった『ブルーストーム PRO』の陰で目立たない印象の『S2』だったが、切り拓いたのは絶妙な新領域。隠れた逸品となり得る性能を秘めたラバーなのだ。
●粘着テンション裏ソフト
●¥6,380(税込)
●カラー:レッド・ブラック
●厚さ:MAX・2.0・1.8㎜
●イルマソフト㈱ スポーツトレーディング事業部
04・2936・4441
photo >> Yoshinori Eto
text >> Takazumi Asano
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