卓球関係者は「ロンドンは日本男子の優勝のチャンスがある」と口を揃える。 1926年に第1回大会が開催された「世界選手権大会」。その100年目、卓球は聖地ロンドンに帰ってくる。
その地で、日本男子は1969年ミュンヘン大会以来の団体優勝を成し遂げることができるだろうか。期待の背景には、張本智和(トヨタ自動車)と松島輝空(木下グループ)という、共に世界トップ10に名を連ねる「ツインエース」の存在がある。
岸川聖也監督が「今、世界で一番勢いのある選手」と評する松島の台頭は心強い。そして、その成長は団体戦における張本の重圧を確実に和らげている。
「今年の成績だけを見れば、松島選手のほうが(WTTでの獲得)ポイントは多い。世界ランキングは抜かれるかもしれないが、すぐに抜き返すつもりでいる。今大会もぼくが2番手で出る時もあるだろうし、岸川監督には『僕に気を遣ってエース起用する必要はない、松島をエースで使っても大丈夫です』と伝えている。2番手だとしても、2-2のラストで回ってくれば大事な役目になる。エースでも2番手でも、2点取ることが大事。松島は本当に心強い。今回こそ、僕が2点取ればチームは勝てる。その気持ちで戦いたい」
張本は昨日(4月14日)、公開練習後の囲み取材でそう語った。
「チームの5人を見れば、中国よりも日本やフランスのほうが層が厚いかもしれない。ただ、試合に出る3人を見れば、中国の林詩棟や梁靖崑は実績があるので、依然として中国が一番手。それでも圧倒的な力の差はないので、中国、フランス、日本が軸になっていくはず。まずはベスト4に入り、そのあとフランス、中国に勝ちたい。ぼくが勝ちやすい相手もいれば、松島選手が勝ちやすい相手もいる。周囲に気を遣わず、岸川監督が自由にオーダーを組めたらいいと思う」
張本は2018年ハルムスタッド大会に14歳で初出場して以来、常にトップで起用され、日本エースの重圧を背負い続けてきた。現在も世界ランキングは日本人最上位だが、中国選手に強い松島の存在は、彼にとっても新しい感覚をもたらしている。
「初めての世界選手権からずっと2点起用で、誰かに頼る団体戦を経験してこなかった。ここで年下(松島)に頼れる、安心して戦えるというのは初めての経験。対等に戦える仲間ができたのは心強く、新鮮です」
また、グループリーグから強豪と対戦する新方式については「第2シードを取って中国の反対側の山に行けるメリットはあるが、疲弊するデメリットもある」と冷静に分析。その上で、こう力を込めた。
「シンプルに(世界ランク)トップ10が一人増え、前回・前々回大会よりもトップ10の二人で4点取れる(可能性が高い)のは他国にない強み。さらに3番に戸上(隼輔)くんを置けるのは、5試合ともエース級で戦えるということ。世界卓球は安定して戦うよりも、爆発しなければならない。結果だけを求めて金メダルを狙いたい」
松島の成長により、張本のさらなる躍動が期待される。2年前の釜山大会では、日本女子が中国と互角の勝負を演じ、あと一歩で悲願を逃した。このロンドン大会、優勝のチャンスは男子にも十分に巡ってきている。
100年目の世界選手権。日本男子は世界中を興奮の坩堝(るつぼ)に巻き込むことができるだろうか。
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