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Tリーグ

木下アビエル、がっちり勝利で残り1戦へ

日本ペイントマレッツ 1-3 木下アビエル神奈川
5勝14敗 17勝3敗
1 馮天薇 11-2 8-11 10-12 袁雪嬌
蘭曦 長崎美柚
2 松平志穂 11-8 8-11 4-11 8-11 浜本由惟
3 馮天薇 8-11 7-11 6-11 杜凱栞
4 李皓晴 11-8 5-11 11-8 5-11 11-9 石川佳純
5

 

残り少なくなったTリーグのシーズン。ホームの日本ペイントマレッツは、残り3試合。対する木下アビエル神奈川は残り2試合。

すでに木下アビエル神奈川と日本生命レッドエルフが3月のファイナルに駒を進めているが、ホームでの勝利は地元を勇気づけ、来年へ繋がる試合になる。だからこそ、意味のある試合と言えるだろう。

舞台は大阪のユニバーサルスタジオジャパンの奥にある大阪おおきにアリーナ舞洲。すぐ近くになるアミティ舞洲は毎年、全日本障害者選手権などが行われている聖地で、王国取材班にとっては慣れた場所。USJに吸い込まれていく客を横目にひとつ先の桜島駅へ降り立った。

第一マッチのダブルスは馮天薇/蘭曦が1ゲーム目から飛ばし、なんと9-0までリードを広げる。馮天薇のコース取りがうまく、相手の読みを外したストレートがよく決まっている。

しかし2ゲーム目からは袁雪嬌/長崎が先にストレートを突く戦術で、相手の歯車を狂わせていく。ゲームを取り合った最終ゲームで、日本ペイントペアが先にマッチポイントを握ったが、決められず。緊張した場面でもビタ止めのストップを決めた木下ペアが先勝した。勝てる試合を逃した日本ペイントマレッツにとって厳しい立ち上がりとなった。

序盤は2人の強打が決まっていて、マッチポイントを握っていただけに悔しい敗戦


木下ペアはよく我慢した

第二マッチは松平志穂と浜本由惟が激突。

今日の松平はカウンターの調子が良く、コースを見切った両ハンドカウンターが次々と決まる。パワーのある浜本に一発を打たせず、前陣でのスピードで優位に立つ。

一方の浜本は、2ゲーム目からバックの我慢がきくようになり、松平に威力を利用させない戦術に変更。投げ上げと巻き込みの左右の横回転が強いサービスを使い分け、松平にボールを繋がせてから叩いていく。下回転主体の1ゲーム目からガラリとプレーを変えた。ロングサービスを混ぜつつ、ショートサービスは横が強く、ストップができない。浜本のサービス術に松平はどんどんはまっていってしまい、試合が進むにつれてサービスが効いていった。

浜本のサービスの出し分けが松平を翻弄

後がなくなった日本ペイントマレッツはエースの馮天薇を投入。対する木下アビエルは杜凱栞、アジアの強打者同士の試合となった。

序盤から杜凱栞がYGサービスを散らし、馮天薇のレシーブを探っていく。見た目以上に下回転が強い杜凱栞のYGサービスにストップミスが目立つ馮天薇。レシーブでもフリックでミドルを突き、ツッツキ打ちの展開にさせない杜凱栞。馮天薇のラリーの強さは世界トップ級だが、そこまでにもっていかせない作戦だ。

全体と通して、馮天薇の体が重かったのもあるが、それ以上に杜凱栞の積極性が光った。ストレート勝ちを決め、チームとしても勝利を飾った。

YGの精度がこの試合の決め手だろう


 

勝負は決まったが、4番で一矢報いたい日本ペイントは李皓晴で石川佳純を討つ。持ち前のパワーを活かし、バックハンドで石川のフォアサイドを次々に抜き去り、目の覚めるようなフォア強打も連発した。

石川はフォアサイドとフォアミドルでの失点が多かった

石川も意地を見せ、最終ゲームも食らいついたが、李皓晴が3度つかんだゲームポイントを活かし、チームに1勝をもぎとった。

明日につながる1勝だ!

日本ペイントマレッツとしては、この1勝で笑顔になれる。応援団も大盛り上がりで、明日につなげた形だろう。

勝利した木下アビエル劉燕軍監督は、「全員良いプレーができたと思います。今日はたくさんの人(入場者数506人)がいたわけじゃないけれど応援の力が伝わりました(笑)。残り1試合、頑張ります。ファイナルは日本生命さんと当たるので、しっかり準備をしたい」と気を引き締めた。

ラストで落とした石川の調子が気にかかるが、主導権が行き来する中で、木下ががっちりと流れをつかみ、勝利を物にした。ファイナルまであと1試合、しかも相手は日本生命レッドエルフ。22日の試合はバチバチの前哨戦になりそうだ。

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