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中国リポート

男子超級リーグ、大本命を破った山東魏橋・向尚運動が3年ぶりV

中国卓球クラブ超級リーグの男子プレーオフ決勝(10月12日)は、グループリーグを「オール3ー0」の8戦全勝で首位通過した優勝候補の大本命、馬龍を擁する山東魯能が決勝でまさかの敗戦を喫した。プレーオフ準決勝・決勝の結果は下記のとおり。

 

★迪尚・2021年中国卓球クラブ超級リーグ
男子プレーオフ

●準決勝
 〈山東魯能 3–0 上海地産集団〉
○閻安/王楚欽 4、–7、7、–8、9 許シン/徐晨皓
○馬龍 5、–8、9、8 趙子豪
○王楚欽 –9、3、3、3 徐晨皓

 〈山東魏橋・向尚運動 3–1 仙頭明潤〉
○周啓豪/周雨 9、9、9 徐海東/林高遠
梁靖崑 9、8、–9、–8、–5 樊振東○
○周雨 7、9、–6、–9、11 林高遠
○梁靖崑 –4、6、6、14 徐海東

●決勝
 〈山東魏橋・向尚運動 3–2 山東魯能〉
○周雨/周啓豪 –7、–5、9、7、7 閻安/王楚欽
梁靖崑 –11、–6、–7 馬龍○
○周啓豪 6、–7、8、0 王楚欽
周雨 10、–8、–11、–7 馬龍○
○梁靖崑 4、–3、8、8 閻安

 

優勝した山東魏橋・向尚運動は、決勝トップで周雨/周啓豪が閻安/王楚欽に対し、ゲームカウント0ー2から大逆転勝利。グループリーグでは閻安/王楚欽がゲームカウント0ー2から逆転勝ちしていたが、まったく逆の結果になった。2番の馬龍対梁靖崑は、グループリーグに続いて馬龍の勝利。

準決勝に続き、トップで貴重な勝利を挙げた周雨(奥)/周啓豪

そして勝負の分かれ目となったのは3番。グループリーグでは王楚欽に「4–11、7–11、7–11」と一方的なスコアで敗れていた周啓豪が、トップのダブルスに続いて見事なリベンジ。3ゲーム目の10–8で王楚欽の猛攻をロビングでしのぎ、強打のミスを誘って11–8で奪うと、4ゲーム目はなんと11–0。周啓豪の粘り強い攻守に、王楚欽のカウンターがことごとくネットを弾いてオーバーミス。最後も王楚欽の3球目バックドライブが大きくオーバーし、山東魏橋が大きな1勝を挙げた。

4番では馬龍が周雨を破り、シングルス2勝を挙げてひとり気を吐いたが、ラストにもつれれば山東魏橋に分があった。また少し体重が増えた気がする梁靖崑が、パワーで閻安を圧倒。ベンチの熱烈な声援をバックに歓喜の勝利を収めた。

梁靖崑、ラストで閻安に劇的な勝利

優勝を決め、歓喜を爆発させた山東魏橋・向尚運動の選手たち

大本命・山東魯能、ベンチが必死で声援を送るも、ラスト閻安が敗れる

男子のMVP(シングルスの最多ポイント獲得者)となった梁靖崑は、「直通WTT大満貫・世界戦」と全中国運動会で優勝した樊振東に続き、11月の世界選手権(個人戦)ヒューストン大会の出場権を獲得。梁靖崑は自らのSNS『微博』で「感謝を伝えたい人はたくさんいるけれど、まずチームメイト、そして山東魏橋の尹肖監督にありがとうと言いたい。みんな、お疲れさまでした。世界選手権個人戦でも引き続き頑張ります」とコメントを残している。

表彰式での山東魏橋・向尚運動のメンバー。国家チームを引退する周雨(右端)には何よりの餞(はなむけ)となった

優勝杯の「龍杯」を掲げる中国卓球協会の劉国梁会長

一方、準決勝が終わった時点では、9戦連続で3–0のストレート勝ちを収めていた山東魯能にとっては、まさかの2位。2番手の王楚欽は、チキータからの両ハンドの破壊力は世界のトップクラスだが、守備力の低さとメンタルの不安定さが災いして、大事なところで成績を残せないでいる。2014年の世界ジュニアで初めて見た時には、「世界チャンピオンになれる資質がある」と感じた大器だが、課題は精神面にあるようだ。

※写真提供:『ピンパン世界』

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