<卓球王国2022年1月号より>
業界注目の大型ラバーの登場である。業界と言ってもちょっとニッチな粒高界隈の話ではあるが。
11月1日、バタフライがリリースした渾身の粒高が『イリウス』。『S』と『B』の2種類が同時発売され、トップシートは同じでスポンジが異なる。今回紹介する『イリウスS』は、カットマンに適したタイプだ。粒高と言えば、粒の形状やトップシートのゴム質が命。『イリウス』でもルールの範囲内で最も細長い粒形状を採用。根元部分が少しだけ広がりのある台型になっており、変化と安定のバランスを取っている。しかし、トップシートだけでなく、スポンジに注目した点が、このラバーの最大のポイントだろう。
粒高のスポンジは、硬い方が粒が変形して変化が出るが、一般的に硬いスポンジはボールの抑えが効きにくい。そこでバタフライが開発したのが、硬めながら打球の衝撃を吸収しやすいという「アブソーバー スポンジ」だ。
『S』では「アブソーバー スポンジ ヘビー」を採用。特に衝撃吸収性が優れる一方で、粒全体が倒れることで安定感も確保する。一般に粒高では、安定性と変化は両立が難しい。カットマンが使う場合カットとツッツキの安定性が重要だが、ツッツキ重視でスポンジを軟らかく設計すると、予想外の変化が減ってしまう。しかし『イリウスS』では、技術全般が安定するうえに変化もしっかり出る。安定性をベースに粒高ならではの変化を生かした、バタフライらしい完成度の高い一枚に仕上がった。
かつての『フェイント』シリーズのように、今後は『イリウスS』がカットマンの定番ラバーとなるかもしれない。粒高を愛用するカットマンも、対カットに悩む攻撃選手も、注目しないわけにはいかない一枚だろう。
●粒高ラバー
●¥2,970(税込)
●厚さ:薄・極薄
●㈱タマス
お客様サポートセンター
0120・600・731
photo >> Yoshinori Eto
text >> Hiromoto Takabe
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