<卓球王国2022年6月号より>
テナムとは、韓国語で「竹」の意味。その名のとおり上板(表面材)に竹を使用した珍しいラケット、『テナム』がジュウイックより新発売となった。ブレード表面の仕上がりは美しい。木目が縦方向に走るだけでなく、ところどころに竹特有の節のような模様が見られる。竹らしき匂いもほのかに香るので、手に取ると新鮮だ。
竹材は、そのイメージどおり軽量で軟らかく、しなりがある。『テナム』にもそれが生かされており、ブレードにしなりが感じられ、球持ちが良く、どのプレーも安定するのがウリだ。板厚は6.2㎜と標準的だが、竹の軽さによって、平均重量は74gと軽量なのが最大の特徴だろう。軽いのでビギナーにも扱いやすく、また小学生やレディースなど、筋力に自信のない選手でも楽に振り切れる。
実は、竹を使用したラケットは、同じくジュウイックから05年に発売されていた。いわば前身モデルとも言えるのが『バンブーショット』だ(現在は廃番)。上板に竹を使用している点は同じで、ブレードサイズや板厚の違いは少ないが、平均重量は『バンブーショット』より『テナム』のほうが約10g軽量化されている。「軽くてしなる」という竹の特徴を、より強く打ち出したのが、新作『テナム』なのだ。
『テナム』は攻撃用(オフェンシブ)ではなくオールラウンド用と謳われており、ジュウイックとしては特に初心者、攻撃+守備のカットマン、異質前陣速攻型に、このラケットを薦めている。球持ちと安定性があるので、そのターゲットに最適なのは確かだが、表ソフトや粒高を貼る場合、ラケット全体がやや軽くなり過ぎるかもしれない。両面に重い裏ソフトを貼りながらも、パワーより安定したラリーを志向する選手にも、超軽量のこのブレードが選択肢のひとつとなるだろう。
竹のしなりと軽さ、そして新鮮な見た目を提案する『テナム』だが、奇をてらった1本ではない。圧倒的な安心感を、手にとってみてほしい。
●オールラウンド用シェークラケット
●¥7,150(税込)
●グリップ:FL
●5枚合板
●平均重量:74g
●ブレードサイズ:155×152㎜
●板厚:6.2㎜
●㈱ジュウイック 048・479・2011
photo >> Yoshinori Eto
text >> Hiromoto Takabe
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