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全農カップ優勝、五輪代表を決めた戸上隼輔「過酷なレースでした。今はホッとしています」

全農カップ大阪大会(パリ五輪代表選考会)で優勝し、パリ五輪代表選考ポイントで100点を追加し、パリ五輪のシングルス代表を確実にした戸上隼輔(明治大)。選考会の1日目、2日目のミックスゾーン(取材ゾーン)で彼が残したコメントを紹介しよう。

<戸上隼輔・選考会1日目のコメント>

「梁靖崑戦は自信につながったし、その前に、3連敗していた林詩棟選手に勝てたことが大きな自信になった」

●ー大会前に用具を変えたそうですね。

戸上 「張継科ALC」(バタフライ)のラケットを3年弱くらい使っていて、かなり湿気だったりを含んでいて新品の状態と比べたら全く飛ばないようになっていたので、「樊振東ALC」(バタフライ)を試打して、合うものを見つけました。

アジア競技大会後(10月23日)に変えて、バック対バックで打ち負けずに、かつ積極的にいかないと打ち抜けない。リスクを背負ってプレーしなければいけなかったので、バック面も「テナジー」(バタフライ)から「ディグニクス」(バタフライ)に変えて、その後のWTTの連戦に臨みました。変えてよかったですね。 

●ー以前、世界ランキングの目標は20位でしたが、現在25位です。

戸上 やっと結果を出せるところまで来たなと自分でも感じていて、まずはWTTのタイトルが欲しかったし、その中で20位を目標にしていたので、もっともっと上に行きたいという新たな目標を持てました。来年は15位以内を目指していきたいです。

●ーWTT太原(中国)の決勝、梁靖崑(リャン・ジンクン/中国)との激戦。今でも試合が蘇ったりしますか?

戸上 あの試合が自分の自信につながったし、その前に、3連敗していた林詩棟(リン・シドン/世界ランキング9位・中国)選手に勝てたことが大きな自信になりました。

●ー夏以降、崩した体調もここまで上げてきました。

戸上 いろいろな方々に協力してもらいました。ご心配をかけたけれども、こうやって「結果で恩返しができた」ことが嬉しい。今でも若干体調を崩すことはあっても、かなり以前のところに戻ってきているし、もう少し自分の体と向き合ってもっともっとトレーニングをしたいですね。

(体調不調の)ひとつの原因として、夏前が(体重の)増量期で、体への負担がかなり大きくなって動きづらくなったりとか、精神的にきつくなり、気持ち悪くなったりした。ようやく自分のベストのコンディション、体重を見つけることができて、以前よりも体も少し大きくなりました。ベストは67,68kgで、70kgに行くと体調が悪くなってしまいます。

 

カミソリドライブが戻ってきた戸上

 

<戸上隼輔・選考会2日目の優勝後のコメント>

「過酷なレースでした。(五輪代表を決めて)今はホッとしています」

●ー優勝して今の気持ちは?

戸上 (選考会で)優勝したい気持ちはやまやまだったけど、それ以上に不安もありました。最後まで自分のプレーを貫き通せたことで非常に良い試合ができました。

●ー張本選手の存在は?

戸上 常に世界のトップで戦っていて、後を追うように背中を見続けてきたのが張本選手です。こうして直接対決で勝つことができたけど、それでも自分の目標となる存在です。

●ー今回が最後の選考会です。振り返って感じることは?

戸上 過酷なレースでした。1回目の選考会はベスト16で負けて、全日本で優勝した直後の選考会だったので、ショックを受けました。(選考会を通して)オリンピックに出場するのは過酷なことだと痛感しました。ただ、回数を重ねるごとに自分の技術や卓球の幅も広がって、成長を実感できる良い大会でした。

●ー1月の全日本選手権。全日本3連覇もかかっています。

戸上 全日本は優勝したい。先ほど水谷(隼・五輪金メダリスト)さんとも話をして、水谷さんは全日本で10回優勝してますが、いつかその優勝回数を超えたいと感じてきています。そのためにも来年の全日本で3連覇し、そしてパリのオリンピックでメダルを獲りたい。いつか11回の全日本優勝を目指したい。

●ー選考レースを戦って、頑張ってこられた要因は何でしょうか?

戸上 今まで途中で体調不良のために棄権しようかと思ったほど、自分の中では追い込まれていました。周りの方々に優しく支えていただいた。その方々に感謝したいし、オリンピックでメダルを獲って恩返しをしたい。

この1年間、試合をするたびに成長しているなと感じているし、卓球の技術もそうだし、卓球以外の部分での質も高められてきていると自負しています。世界で勝つために卓球以外の面でも気をつけていきたいですね。

 

決勝の張本戦では、バックハンドでの緩急を使い分けた戸上

 

「全日本では水谷さんの10回優勝を絶対超えたい。水谷さんと今度食事に行く予定です」

●ー対中国、海外勢に対しては?

戸上 ミスをどんどん減らして、その中でも強いボールや緩急を使い分けられる精度を高めたい。最近はサービス、レシーブや台上技術で落ち着いたプレーができるようになっています。(それらを支えるために)ウェイトトレーニング、ダッシュ系などの瞬発力を高めるトレーニングに努めています。

ここ最近、中国選手に勝ったり、梁靖崑と対戦してすごく良い試合ができていたので、この選考会が始まる前に決勝で張本選手とやりたいと思ってました。

決勝はラッキーが多かったので相手に申し訳ない気持ちもあったけど、技術的には負けていなかった。バック対バックで先手を取られる機会が多かったのでそこを修正して、全日本でも(張本と)対戦する可能性があるので、そこで負けないように練習をしたい。

●ーオリンピックのシングルス2枠目の代表を確実にしたことに関しては?

戸上 まずはホッとしています。オリンピックに出たい気持ちはすごくありましたし、出たい気持ちがあるからこそとても不安で、いつ転んでもおかしくない選考会でした。自分のプレーを出し切れるかどうかという不安はあったけど、回数を重ねるごとに自分がプレーを出しきれずに終わった大会がなかったので、成長してきたのかと。

この大会で代表を決めたい気持ちがありましたし、2位をずっと守り切るというプレッシャーはすごくありました。3位との差はあったかもしれないけど、(代表が)確定しているかしていないのかというのは、気持ちの面では0か100の違いがあります。全日本の初戦で負けてポイントがひっくり返るというのもあったので、この選考会で決めきれたのはすごく良かった。

●ー体調不良は完全に良くなりましたか?

戸上 まだ少しは残っていますが、以前のように戻ったかなと思います。一番きつかったのは第5回の選考会の時です。声を出すのもきつかったし、フットワーク練習もきつくて、息が持たない状態でした。

●ー水谷さんとはどういう話をしたのでしょう。

戸上 水谷さんは全日本を10回優勝していますが、話をしていて、「水谷さんの10回を超えたい」と言ったら、「9回でストップしてくれ」と(笑)。「事務所の先輩なので先輩としてそれはNGだ」と(笑)。逆にそれがエネルギーになったので、絶対超えたい!(笑)。(水谷さんの誘導は)うまいです(笑)。水谷さんから食事誘われているんですけど、今まで体調が悪い時だったので断っていて、12月に一度行く予定です。誘ってもらえて嬉しかったです。

 

優勝後、ミックスゾーンで質問に答える戸上

 

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