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インタビュー

キッカケは誕生日プレゼントの『コルベル』? 草野華余子のどうしたって止められない卓球愛

 シンガーソングライター、作詞作曲家など多方面で活躍中の草野華余子さん。TVアニメ『鬼滅の刃』の主題歌『紅蓮華』(LiSA)の作曲も手掛けた彼女だが、昨年から卓球に“ど”ハマり中。数々のアーティストの楽曲制作を抱える多忙な生活の中、「卓球のためにスケジュールをこじ開ける」日々を送っているという。そんな草野さんに卓球にのめり込んだキッカケ、卓球の魅力、卓球と音楽の共通点などを語ってもらった。(インタビュー・文:浅野敬純)

 

●キッカケは誕生日プレゼントの『コルベル』

 家族の影響で小学生の頃はゴルフに親しみ、8歳から13歳までは田中秀道プロの教室に通っていた本格派。大阪生まれだけに、物心ついた頃からの阪神タイガースファン。サッカーもラ・リーガの試合を配信でよく観るなど、 「もともと球技が好き」だという草野華余子さん。卓球もそのうちのひとつで、オリンピックの度にテレビで観戦していた。

 しかし、昨年の春から卓球へ向けられる熱量が急激に上昇。今では自らラケットを握ってプレーし、大会や試合は国内外問わずチェックするほど、どっぷりと卓球にのめり込んでしまった。そのキッカケとなったのは、ミュージシャン仲間との卓球。音楽業界には「学生時代は卓球部」という人物が意外に多いそうで、草野さんも彼らと時たま遊びで卓球を楽しんでいた。

 しかし、本格的な卓球経験がない草野さんはなかなか勝てず、ダブルスを組めば足を引っ張り、悔しい思いが募っていく。そんな時、卓球経験のあるミュージシャンの友人から「誕生日プレゼント」として渡されたのが、かの名作5枚合板『コルベル』(バタフライ)。これが草野さんに火を点けた。

 「ちゃんとしたラケットをもらって、ラバーも本格的なものを貼ってプレーしたけど、やっぱりうまくいかない。それで卓球教室に通ってレッスンを受けるようになりました。

 私の性格なんですけど、とりあえず自分の納得がいく結果を出せるまで頑張ろうと思って。どうせやるなら、中級者と言われるレベルになるまではやろうと決めました」

 こうして昨年の春から卓球教室に通い、本格的にプレーするようになったが、熱中するあまり肋骨を疲労骨折。それでも懲りず、今では別の卓球教室にも通ってレッスンを受けるほどにハマってしまった。

 

●「卓球の試合=ライヴ」という視点

 自らを「過集中なタイプ」だという草野さん。仕事柄、部屋にこもって作詞や作曲に没頭することも多い生活だが、卓球に出合って生活に変化も生まれた。

 「人によるとは思いますが作詞家とか作曲家って、仕事に没頭すると本当に体を動かさなくなるんですよ。私も過集中なほうですけど、卓球をするようになって、変に考え込まなくなったというか。卓球で集中力のオン・オフ切り替えができるようになってから仕事の効率も上がりました」

 また、草野さんが感じる卓球と音楽の共通点について聞くと、音楽を生業とする人間らしい答えが返ってきた。

 「卓球の試合って、ワンマンライヴに似ていると思っていて。ライヴも全曲全力で歌っていたら息が続かないし、喉がやられる。卓球で『どこにピークを持っていくか』『どこで勝負をかけるか』って考えながら試合を進めるのと同じで、ライヴも『どうやって一気に盛り上げるか』が大事。

 ペース配分だったり、いかに冷静にライヴを進めるかを大事にしているミュージシャンって多いんですけど、それって卓球の試合中の心境に近いと思うんです。勢いに乗っても、頭は冷静な状態にしたままで、いかに白熱したままライヴを終わらせられるかっていうことですね。そうやってひとつひとつ積み重ねていって試合に勝つ、ライヴを完走するっていうのは感覚的に似ているかなって」

 卓球の試合での緊張感を経験すると、久しぶりに自身のライヴを行った際、まったく緊張しなかったという。「新しい緊張や刺激って、自分がずっと生業にしていることにすごく良い影響があるんだなって感じます」と、卓球はライヴでのパフォーマンスにもつながっている。

 そして、ギターと卓球のラケットは「木材」という共通点もある。ラケットがそうであるように、ギターも使用する木材の種類によって音に違いが出るという。オーダーメイドでアコースティックギターを作ってもらった際に工場に足を運んだこともあるそうで、いつかラケットの工場にも足を運びたいとも語る。

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