卓球王国 2024年7月22日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
Tリーグ

おとめ達の気迫を見よ! 完勝の名古屋が3位で終戦

木下アビエル神奈川 0-4 トップおとめピンポンズ名古屋
13勝8敗 8勝13敗
1 長崎美柚 8-11 6-11 鈴木李茄
森薗美月 森田彩音
2 木原美悠 10-11 11-4 7-11 8-11 森薗美咲
3 杜凱栞 4-11 10-11 10-11 リン・イエ
4 長崎美柚 10-11 9-11 11-7 11-9 8-11 出澤杏佳

トップおとめピンポンズ名古屋(以下:名古屋)、2019−2020年のレギュラーシーズン最終戦で、ホームの木下アビエル神奈川(以下:KA神奈川)を4−0で圧倒。日本ペイントマレッツを抜き返し、3位でシーズンを終えた!
ITTFチャレンジプラス・ポルトガルオープンに出場中のエース石川佳純を欠くものの、長崎美柚・木原美悠の「Wみゆう」と杜凱栞(香港)を揃えるKA神奈川が有利と思われたこの一戦。しかし、勝利すれば3位に浮上する名古屋は、選手・ベンチともに気迫満点の戦いぶり。観客席の応援団も声を張り上げ、選手を後押しする。
トップのダブルスはKA神奈川が長崎美柚/森薗美月、名古屋はともに静岡県出身の鈴木李茄・森田彩音が出場。両チームとも最終戦に、今季初のペアリングをぶつけてきた。ダブルスの名手・鈴木の鋭いフォアカウンターと、要所で森田がうまく緩急をつけた名古屋ペアに凱歌。

鈴木/森田は、鈴木のカウンターと森田の懐の深い両ハンドが噛み合った


2番は「肉を切らせて骨を断つ」という、見ごたえあるバック表の異質速攻対決。KA神奈川の木原が、変化ある巻き込みサービスを森薗のバックに集め、主導権を握ったかに思えたが、森薗が1ゲーム目の8−10から9−10とし、木原のレシーブスマッシュをバックブロックで弾き返すスーパープレー。11−10と逆転で取り、球威では木原に押されながらも、抜群の集中力と読みの鋭さで押し切った。

木原はテクニックと球威では優勢だったが、受けに回ってしまった


久々に「これぞ森薗美咲」という会心のプレー。試合後は次のように語った。「私もチームも負けが続いていたので、1番ダブルスが勝ってくれたし、勝っても負けても声を出して、元気良くプレーしてチームを盛り上げたかった。木原さんはサービスがすごく上手ですけど、(サービスが)わからないなら長くレシーブしていこうと。思ったより自分の勘が冴えていて、レシーブで苦労することはなかったです。今日勝ったら3位だったので、勝った瞬間はほっとしたのが一番です」(森薗)

胸打たれるプレーを見せた森薗美咲


この森薗の気迫が、3番リン・イエにも乗り移る。男性顔負けの強打者であるリンだが、鉄壁の守りを誇る杜凱栞には強引な攻撃は禁物。緩急をつけてうまく打たせ、引いて守る杜凱栞を「引きずり出した」。打たせてから反撃に転じるラリー展開も冴え、ゲームカウント2−0の3ゲーム目は10−5から10−10に追いつかれながら、11−10で振り切った。チームの勝利を決め、最高の笑顔を見せた。

ベンチに戻り、会心の笑顔を見せたリン・イエ


これで名古屋の勝利が決定。ホームの木下としては、雨模様の中、会場に足を運んだファンに1勝を届けたいところ。長崎と出澤の「高2対決」は、1ゲーム目の10−10で出澤のバックブロックがエッジをかすめ、出澤が先制。しかし、長崎もゲームカウント0−2から1ゲームを返すと、4ゲーム目の9−10でフォアに大きく振られてから、バックカットで必死でしのいだボールがエッジ。勝負はついに最終ゲームへ。
最終ゲームは8−8から出澤が10−8でマッチポイントを握り、最後は出澤のバックツッツキがネットイン、さらにエッジをかすめて入る。一瞬の静寂のあと、静かに歩み寄った両選手。世界ジュニア代表同士の熱戦は、出澤に軍配が上がり、名古屋が4−0で最終戦を締めくくった。

4−0での勝利を決めた出澤を迎える名古屋ベンチ


長崎、意地の追い上げでゲームオールまで迫ったが、最後は振り切られた


「長崎さんには5試合くらい連続で負けていた。勝ててすごく自信になったし、うれしいです。私は(ゲームカウント)2−0からまくられることが結構あるんですけど、最終戦だし、同世代でいつも勝てない相手だったので、絶対勝つという気持ちを強く持って最終ゲームに挑めたのが良かった」。試合後に語った出澤。
名古屋の藤川英雄監督は、勝利監督インタビューで目に涙を浮かべながら語った。「ずっと連敗が続いていたけど、今日はみんながひとつになれた、今シーズンはそれぞれの試合にヒロインが誕生して、前半戦は森田選手と山本選手、中盤戦は鈴木選手が頑張って、後半はみんなの力で戦っていくことができた。応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました」。名古屋の選手たちのプレーは、本当に胸打たれるものがあった。

試合後、観客席の応援団の声援に応える名古屋のメンバー


一方、最終戦は残念ながら敗れたKA神奈川だが、3月14日の両国国技館でのプレーオフファイナルでは、昨年大激戦の末に敗れた日本生命レッドエルフへのリベンジマッチに臨む。昨年に負けない、素晴らしいプレーを見せてほしい。今年こそ戴冠なるか?

木下アビエル神奈川のメンバーはホームでの最終戦を終え、会場に足を運んだファンと記念撮影

関連する記事