現在、日本の卓球市場の中で相当数の使用者がいる「ドイツラバー」。卓球王国用具ランキングでも常にトップを争うニッタクの『ファスタークG-1』はその筆頭で、現在ヒットしている新色のカラーラバーもドイツ製だ。また初中級者の定番のXIOM『ヴェガ』もドイツ製ラバーの代名詞だ。
そのドイツ製ラバーが来年をめどに新商品はやや高めに、既存の商品も値上げする可能性が出てきた。
理由は二つある。
ひとつはユーロ高。きょう現在の国際為替で、1ユーロは131円。いわゆる円安ユーロ高の状況なのだ。1年前の11月5日は1ユーロ、122円。2年前の同日は120円。『ファスタークG-1』が発売されたのは2010年7月までさかのぼると、1ユーロが114円だった。ユーロはその時よりも13%ほど上がっている。
単純に言えば、メーカーが11年前に114万円分のラバーを仕入れていたものが、今は同じ枚数を買う時に130万円が必要ということだ。メーカーとしては単純に10%以上の利益が減ることになる。
2つ目の理由は、ドイツ製ラバーを作っている出荷元のラバー原価が上がり、それにともないラバーの出荷価格が上がることが予想される点だ。何%上がるかはまだ不明だが、そういう交渉がメーカーとドイツの間で行われたあたりから、原油高、輸送コストの高騰なども直撃した。メーカーとしては仕入れ原価が上がるわけだから、「利益が減ってでも我慢するか」「小売価格を上げるか」という選択肢しかない。
ドイツ製ラバーは常にその対抗軸にバタフライの『テナジー』『ロゼナ』がいる。それらのバタフライラバーとの性能比較や価格比較が、日本のラバー市場の中心にある。
メーカーからすれば、「ドイツラバーの仕入れ価格が高すぎるから、日本製でなんとかならないか」と日本製とドイツ製でサプライヤー(供給元)の比重を変える可能性もある。ただし、(バタフライ以外の)日本の工場でドイツラバーに匹敵するラバーが製造できるかは別問題。
定価が5000円を超えるのが当たり前、8000円を超える「トップ仕様ラバー」も出現している昨今の卓球界。
一方、ネットショップの市場では安売り合戦が火花を散らし、ラバーの二重価格の問題や、適正価格がわからなくなっている現状で、「高いから良いラバーだ」という迷信は捨てなければいけないだろう。
そして近いうちに来るであろう「ドイツラバー値上げ」に少しばかり準備をしておくことが必要になるかもしれない。
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