●3月23日の名言
サービスを出すうえで、一番やってはいけないことは何か?
卓球王・水谷隼は迷わずこう答える。
だから彼は、サービスに強い回転をかけることに対して慎重だ。普通の中高生なら、サービスが台から出ることなどお構いなし。下回転や横回転をガツンと切り、サービスエースを取ったら大喜びするところだが、トップ選手はそうはいかない。コントロールがあまくなり、台から出たサービスをレシーブから狙い打たれてしまうと、劣勢を挽回するのは難しい。
「大会の1試合目、1ゲーム目の1本目から下回転サービスを使うことはまずない」という水谷。そこで何を使うかというと、メインになるのは「左横回転が入ったナックルサービス」。ナックルサービスというと、回転のかかっていない「無回転」のサービスを指すことが多いが、水谷隼のナックルサービスはわずかに下回転が入り、台上で止まる球質になる。
すべるように低く鋭く飛んできたサービスが、相手コートのエンドライン手前で急停止して2バウンド目を刻む。出し方の秘密も、『水谷隼の大サービス』で詳しく解説しているが、自分のものにできるかどうかは……あなた次第だ。
水谷隼とナックルサービス。かつては強烈な左横回転サービスでサービスエースを連発していたビッグサーバーが、プラボールへの変更やチキータの出現など、多くの壁にぶつかりながらたどり着いたひとつの答え。回転だけがサービスの威力だと考えている人にこそ、読んでもらいたい。
ツイート