昨日、松島輝空(木下グループ)の男子シングルス初優勝で幕を閉じた天皇杯・皇后杯 2025年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)。この全日本選手権優勝も追い風に、世界でのさらなる飛躍が期待される松島だが、今年5月にカタール・ドーハで開催される世界卓球選手権(個人戦)の男子シングルスには出場できないことが決まっている。
世界選手権は2021年のアメリカ・ヒューストン大会(個人戦)から大会のスリム化を目指し、出場可能な選手・ペア数(団体戦の場合は協会数)を制限。アジアやヨーロッパなど、各大陸で予選を実施し、そこで出場枠を獲得した選手・ペアが出場できる「ファイナル」として開催されており、1協会から世界選手権シングルスへエントリーできるのは最大5名となっている。
2025年世界選手権(個人戦)のアジア大陸予選は昨年10月のアジア選手権と兼ねて開催されたが、松島はこの大会の男子シングルスに出場できなかった。日本卓球協会の発表した同大会のシングルス日本代表選考基準と、その基準を満たした選手は下記のようになっている。
【アジア選手権男女シングルス日本代表選考基準】
①パリ2024オリンピック日本代表選手→張本智和(智和企画)・戸上隼輔(井村屋グループ)・篠塚大登(愛知工業大)
②アジア選手権最終エントリー日14日前が含まれる週のシングルス世界ランキング日本人最上位選手→張本智和
③2024年6月開催のアジア選手権日本代表選考会優勝者→松平賢二(協和キリン)
④上記①~③で選出された選手が重複し、最大出場枠数に満たない場合には以下の順番で選⼿を選出する。
イ)2024年全日本選手権シングルス優勝者→張本智和
ロ)上記の②を除いた、アジア選手権最終エントリー日14日前が含まれる週のシングルス世界ランキング日本人最上位順→吉村真晴(SCOグループ)
松島はこれらの選考基準をいずれも満たすことができず。パリ五輪日本代表の座を最終盤まで篠塚と競い、アジア選手権日本代表選考会でも決勝へ進出、④ロ)のランキングでも決定直前まで吉村より上位だったが最後に逆転されるなど、チャンスはあったもののアジア選手権シングルス代表を逃していた。
アジア選手権で出場選手が世界選手権出場枠を獲得できなかった場合、今回の全日本選手権シングルス優勝者にも世界選手権シングルス代表のチャンスがあったが、張本、戸上、篠塚、松平、吉村の5名全員が出場枠を獲得。結果的に世界選手権シングルス代表を自力でつかむには、アジア選手権シングルス代表になる必要があったというわけだ。
ただ、シングルス代表は逃した松島だが、アジア選手権には強化本部推薦で男子ダブルスと混合ダブルスに出場。張本智和との男子ダブルス、張本美和(木下グループ)との混合ダブルスともに世界選手権への出場枠を獲得している。
松島は2023年全日本選手権男子ダブルスで最年少(15歳)で決勝に進出。国内外問わず、ダブルスで輝かしい実績を誇る名手・森薗政崇(BOBSON)も以前、松島を「ダブルスのうまい選手」として挙げていた。
「若い選手がダブルスで上位に勝ち上がってくるのは難しいけど、(松島)輝空は最年少で(全日本の)決勝に進んだり、WTTで優勝したりしている。ダブルスのうまい左利きの選手って、前陣で動き回れるタイプ、足のあるタイプだと思っていたけど、輝空はそういうタイプと違ったダブルスでの強さがある。新しいタイプで『すごいな』って感じます」(森薗/2023年9月談)
昨日の全日本選手権男子シングルス優勝後には「(世界選手権のダブルスでは)まずメダル、そして金メダルを目指して頑張りたい」と意気込みを語った松島。世界選手権シングルスデビューは早くとも2年後となったが、まずはダブルスで初の世界戦メダルを目指す。
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