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世界卓球2025

審判に詰め寄る肖戦コーチ。またも受難の王楚欽のラケット、中国卓球協会が抗議

昨日の午前11時からの混合ダブルス2回戦。吉村真晴/大藤沙月ペアの写真を撮る準備をしていると、隣のテーブル1が何やら騒がしい。中国の王楚欽/孫穎莎ペアのベンチに入る肖戦コーチが、ラケットを手に険しい表情で話している。その横を、王楚欽がベンチのラケットケースから取り出したスペアラケットを手に、浮かない表情で通り過ぎていった。

ラケットを手に抗議する肖戦コーチ

その横を、スペアラケットを手にした王楚欽がコートへと戻っていった

その後、明らかになったところによれば、試合前にラケットコントロールに提出した王楚欽のラケットのラバーが大きく剥がれており、そのままでは使えない状態になっていたという。カルデラノ/B.タカハシ(ブラジル)との一戦はストレートで王楚欽/孫穎莎が勝利したが、試合後のミックスゾーンでの王楚欽の表情はやはり晴れなかった。

試合後のミックスゾーンでも表情が硬かった王楚欽(左)

昨日19日の全試合が終了したあと、中国卓球協会はITTF(国際卓球連盟)に抗議し、緊急のミーティングを実施。中国卓球協会の王励勤会長らも出席し、ラケットコントロールの検査手順の遵守や、ラケットを傷めない検査機器の導入、ラケットコントロールの過程を映像で録画することなどを求めた。「選手の用具を保護し、同様の事件が再び起こらないようにする」と声明を発表したITTFは、調査報告書を作成する予定だ。

王楚欽のラケットといえば、昨年7月30日のパリ五輪・混合ダブルス決勝後に発生した、コートに殺到したカメラマンによるラケットの破損事件を思い出さずにはいられない。その時にベンチに入っていたのもやはり肖戦コーチ。肖戦コーチが血相を変えて抗議をしていたのも道理か。

ラバーがラケットから大きく剥がれるというのは、かなり強い力を持続的に加えないと難しいだろう。後味の悪さが残るが、パリの時とは違い、今回はラバーを貼り直してメインラケットを使うことも可能。ファンの大声援を背中に受けて戦う王楚欽、今日から全力のプレーを見せてほしい。

混合ダブルス2回戦では、出足から力強いプレーを見せた王楚欽。シングルスは初優勝を目指して突き進むか

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