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東京五輪卓球

伊藤美誠、孫穎莎の徹底した戦術と気迫にストレートで敗れ、涙

●女子シングルス準決勝
孫穎莎 3、9、6、4 伊藤美誠

 

決勝進出をかけた、宿命のライバル孫穎莎との対決。伊藤は持てる戦術と技術を出し切ったが、孫穎莎がそれを上回る戦術、そしてメンタルの強さを見せて圧勝。接戦が予想されたが、孫の伊藤対策の徹底ぶりと、気持ちの強さをまざまざと見せつけられる形となった。

好ゲームが期待されたが、孫穎莎が強さを見せつける結果となった

 

第1ゲーム、伊藤はサービスでもラリーでも孫のフォアサイドを積極的に突く戦術を徹底するも、決定打にミスが出る。孫は伊藤のバックを封じる緩急をうまく使って11-3で先制。

第2ゲームは出だして、孫のロングサービスに対するバックハンドでのレシーブエース2本。さらにフォア前へのサービスでエース2本の最高のスタート。バックの緩急からのカウンターを決めるなど、伊藤はプレーが冴えて9-3とリード。しかしそこから4本連取されてタイムアウト。その次のラリーで、伊藤がチキータレシーブから攻めててたが、孫がボディーワークを使ってフォアで逆襲して得点。さらに孫が執念のスーパープレーを連発し、なんと8本連取で逆転。この試合の正念場で、孫が信じられないような集中力を見せた。

2ゲーム目は大量リードから逆転を喫した伊藤。このゲームを取りたかった

 

2-0とリードして、より気持ちに余裕が生まれた孫が、第3ゲームも主導権を握る。伊藤もロングサービスや回転を変えるサービスなどから積極的な攻撃を見せたが、孫もブロックで封じるなど崩れず、このゲームも孫が11-6で奪う。

第4ゲームも孫がサービスを効かせてリード。しかし伊藤も孫を少し台から下げての打ち合いの得点や、バックストレートの攻撃などで4-8とし、反撃開始なるかというタイミングで、中国側がタイムアウト。結局、孫が3本連取で11-4とし、4-0のストレート勝ちとなった。

プレーに隙なしの孫穎莎、決勝でどんな戦いぶりを見せるのか

 

結果的に1ゲームも奪えなかった伊藤だが、プレー自体は決して悪くなかった。序盤の正念場となった第2ゲームを取れず、それ以降もサービスになかなか対応できず、相手に傾いた流れのまま試合が進んでしまったのが悔やまれるが、孫の戦術遂行能力とメンタルを称えるべきだろう。

金メダルには届かずも、まだメダルのチャンスはある。3位決定戦は今夜20時よりスタート

 

「2ゲーム目が取れなかったのが本当に大きかった。3ゲーム目への入りがよ良くなかったので、そこを立て直せなかったのが今回の敗因。やってることは悪くなかったが、0-4で惜しくもなくて、悔しい。気持ちを切り替えて次の試合に入りたい。調子はそこまで悪くない。良いほうだと思います。これが実力なので、しっかり切り替えて次の試合の準備をしたい」(伊藤)

試合後のインタビューでは目に涙を浮かばせながらコメントした伊藤。悔しい気持ちを切り替えて、今晩のユ・モンユとの銅メダル決定戦に挑み、日本女子シングルス初のメダル獲得を目指してほしい。がんばれ、伊藤美誠!

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