卓球王国 2024年12月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
Tリーグ

前田がVマッチで鮮やかリベンジ! 日本生命が最終戦制す

トップおとめピンポンズ名古屋 2-3 日本生命レッドエルフ
5勝16敗 13勝8敗
1 安藤みなみ 12-14 3-11 常晨晨
野村萌 蒋慧
2 徐孝元 11-6 11-6 11-5 森さくら
3 鄭怡静 7-11 3-11 11-3 9-11 蒋慧
4 ハン・イン 11-8 11-6 11-7 前田美優
5 ハン・イン 6-11 前田美優

 
Tリーグ2018ー2019シーズン女子最終戦となった、トップおとめピンポンズ名古屋vs日本生命レッドエルフ。愛知・西尾市総合体育館には前日の627名から倍増以上の1360名が観戦に訪れ、両軍に熱い声援が送られる中、試合も白熱した展開となった。

TOP名古屋のマスコット・タマタマは、大入りの会場でも人気者!


第1マッチのダブルス、TOP名古屋は安藤みなみ/野村萌ペアを初起用。野村自身は4度目の起用で、ダブルスでは初登場ということになる。地元愛知の名門、卓伸クラブ出身同士という前陣速攻コンビは、出足から好調。日本生命が誇る常勝ペアの常晨晨/蒋慧に積極的な攻撃を決め、5本連取などもあり、先にゲームポイントを奪った。しかし勝利を意識したか、ミスが出て12−14で日本生命ペアに軍配。2ゲーム目は、日本生命ペアのサービス、レシーブに崩されて、一気に押し切られる形となった。打ち合いでは互角以上に渡り合っていたTOP名古屋ペアだったが、緻密な台上プレーの差が出でしまった。

安藤(奥)・野村ペアは敗れたものの、随所で目の覚める速攻を見せた


続く第2マッチは、TOP名古屋・徐孝元が会心のプレーを披露。カットの安定性はもちろん、サービスからの3球目攻撃も決めるなど、常に点数をリードする展開となった。日本生命・森さくらは、カット打ちのミスからやや焦りを感じさせるプレーとなってしまい、徐がストレートで勝利。これで前半を1−1で折り返すことになった。

攻撃も冴えた徐孝元


日本生命・村上恭和監督がキーマッチのひとつとしてあげた3番は、TOP名古屋・鄭怡静と日本生命・蒋慧の対決。蒋がバック表ソフトでのストレートコースへの攻撃と、フォアドライブのコンビネーションが冴えて、2ゲーム連取。前日の試合では快勝していた鄭は、フォアサイドを突かれてのミスが多かったが、第3ゲームから対応して1ゲームを奪うと、第4ゲームも接戦に。9ー9までもつれたが、蒋が逃げ切った。

前回の対戦で敗れていた鄭怡静にリベンジし、クールな蒋慧もガッツポーズ


日本生命が2−1と勝利に王手をかけたが、4番に控えるTOP名古屋の守護神、ハン・インが、日本生命・前田美優の前に立ちはだかる。変化のあるツッツキやショートスイングのカットで前田に的を絞らせず、ドライブからのスマッシュという連続攻撃パターンも冴えわたる。今シーズンの最終戦で何とか勝利をもぎ取ろうという気迫を感じさせるプレーを見せた。前田につけ入る隙を与えず3ゲーム連取、2−2として5番のビクトリーマッチへ突入となった。

とっさに打たれたボールへも反応、勝利への執念が感じられたハン・イン


そして両監督から告げられたVマッチの起用選手は、何と4番と同じハン・インと前田となり、場内からどよめきが。常識的に考えれば4番でストレート勝ちしたハン・イン有利かと思われたその試合、しかし前田が6−2とリードを奪う。ハン・インのフォアサイドへのツッツキを徹底しながら、打ち急がずにプレーし、ハン・インの変化に引っかからないクレバーなプレー。また、敗戦直後の対決にもかかわらず、立ち向かっていったメンタルも素晴らしかった。7−2から7−4と追い上げられてタイムアウトを取ったが、そこから再び集中したプレーを見せて、11−6で勝利! 渾身のガッツポーズを見せたあと、緊張から開放されてその場にしゃがみこんだ。シーズン最終戦にふさわしい、劇的な幕切れだった。

前田が値千金の勝利で、日本生命に有終の美をもたらした


「今季13勝8敗で、予想通りの成績でした」と試合後に笑顔でコメントした、日本生命・村上監督。「今日のポイントだったのは、3番の鄭怡静と蒋慧。蒋は前回負けていましたが、よく頑張った。そしてラストでしょうね。前田は4番で負けて、作戦も変えたけどそう簡単に勝てるものではない。精神的な幅、戦術の幅があった。強くなったなと思いました。ルールで3番が終わった時点で(Vマッチの選手は)決めていたけど、4番の試合を見ていたら出さなかった(笑)。4番の3ゲーム目は、これで負けても次があるから、今から作戦を考えておけと言ったのが、良い結果になりました」(村上監督)。
一方、残念ながらホームでの2連戦を有終の美で終わることのできなかったTOP名古屋だったが、この最終戦は選手たちから気迫が感じられる素晴らしい試合ぶりだった。「昨日、6時間かけて自転車で応援に駆けつけてくれた高校生がいた。試合前のミーティングでこの話をして、応援してくれる皆さんのために頑張ろうと、今日の試合に臨んだ。昨日は私も選手もプレッシャーを感じてしまったが、今日は負けはしたけど、皆さんの声援を受けて頑張ることができた」。新井周監督はファンへの感謝を強調した。

かけつけた大勢のファンとともに記念撮影のTOP名古屋チーム


こうしてTリーグ2018−2019シーズン女子の42試合が全て終了した。1位の木下アビエル神奈川と2位の日本生命レッドエルフが、3月17日に東京・両国国技館で開催されるプレーオフファイナルに出場し、初代女王の座を争うことになる。

関連する記事