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東京五輪卓球

石川佳純、「リオの悪夢」を振り切る笑顔の初戦突破

石川佳純にとって今大会の初戦となる女子シングルス3回戦は、パラナン(タイ)との左腕対決。早いテンポのバックハンドを軸に、フォア強打も見せるパラナンは、戦型的には石川と似たタイプだけに、格上の石川にとっては一見やりやすい相手にも思える。しかしラリー戦でのセンスと思い切りの良さが光る、侮れない相手だ。

第1ゲームを石川が快勝したものの、第2ゲームはパラナンが得意な早いラリー展開で奪い返す。そして互いにゲームを取り合って2-2と互角の展開。既に1・2回戦を戦ってきたパラナンは動きも良く、前陣両ハンドの打ち合いで度々ノータッチで抜くなど、ファインプレーを見せた。一方の石川はやや緊張が見られ、相手に合わせるラリー展開となって苦戦。しかし5・6ゲーム目は強気なプレーと引き出しの多さによる変化でものにし、逃げ切った。

苦しみながらも初戦を突破!

敗れたパラナンも石川と堂々渡り合った

 

第6ゲームも追い上げを見せられる中、振り切っての勝利に、笑顔のガッツポーズを見せた石川。思い出されるのは2016年リオ五輪の、同じくシングルス初戦(3回戦)だ。無尽蔵の体力を見せた伏兵キム・ソンイ(北朝鮮)のカットの前に右足がつり、フルゲームの末に痛恨の敗戦を喫した。

シード選手にとっての初戦である3回戦は、まさに「鬼門」。毎大会、上位進出の実力のある選手が苦杯を喫しているラウンドだ。「リオの悪夢」の記憶がある石川にとって、この試合の中盤まで緊張があったのは無理がない。それでも5年間で幾度となく苦しい場面を乗り越えてきた石川は、最後は集中力と強気を見せた。鬼門の初戦を乗り切った石川が見せた、会心の笑顔。ここから石川の今大会の快進撃が始まる。

5年前の悪夢を振り払い、石川の東京五輪が幕を開けた

 

●女子シングルス3回戦
石川佳純(日本) 5、-5、4、-6、4、8、 パラナン(タイ)

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