日本卓球協会(JTTA)による「S級・A級コーチライセンス」の導入に向けた模擬運用(トライアル)が実施された。これまで日本の卓球界では本格的な指導者ライセンス制度の確立が長年の課題とされてきたが、S級・A級コーチライセンス実行委員会の倉嶋洋介副委員長らの働きかけや、日本サッカー協会の田嶋幸三名誉会長ら有識者の協力を得て、ようやく本格導入へ向けた一歩を踏み出した。
サッカーのJリーグをはじめとするトップスポーツにおいて、指導者ライセンス制度は組織的かつ厳格に運用されており、世界で活躍する優秀な選手を輩出する基盤となっている。日本卓球界においても1990年代、全盛期を誇ったスウェーデンからコーチを招いた際、ピラミッド型の指導者ライセンス制度が強さの要因であると把握されていたが、実効性のある制度化には至っていなかった。今回の試みは、日本卓球界の指導体系を根本から見直す画期的な取り組みとなる。
トライアルに参加した名門・野田学園中高校の橋津文彦監督は、長年にわたり日本の卓球界で有望な選手を育成し続けてきたトップ指導者の一人だ。学校の教員や部活動の顧問を務めながらのライセンス取得には時間的苦労も伴うが、今回の受講について次のように手応えと重要性を語った。
■ 野田学園・橋津文彦監督のコメント
「普段は指導する立場が多いため、久しぶりに学ぶ機会をいただき、講義は非常に面白く楽しいものでした。マンネリ化しやすい現状において、新たな学びと大きな刺激を受けました。
現在、教員の仕事や部活動の顧問は非常に多忙で、受講のための時間を作るのは決して容易ではありません。しかし、大変であっても前に進まなければ何も変わりません。少子化が進み、部活動の維持自体が困難になる中、ハラスメント対策など指導現場には厳しい対応が求められています。だからこそ、従来の指導法を見直し、新しいアプローチを取り入れていく必要があります。
現在は実績を出せているチームであっても、現状維持のままでは今後衰退していく懸念があります。新たな試みに挑戦し、前進し続けることが不可欠です。日本には非常に優秀な選手や子どもたちが数多くいます。彼らを支える適切な指導体制を構築するという意味で、今回の制度構築は非常に価値の高い取り組みだと感じています」
*上の写真は橋津文彦監督

質疑応答の時間で質問をする祢屋康介JNTコーチ、HNT監督
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