今大会の女子シングルス1回戦で、ちょっと感動的なシーンがあった。その主役は、チリから出場しているパウリナ・ベガ。南米では名の通った実力者で、豪快なフォアドライブを振り回す左シェークドライブ型。しかし、卓球に詳しい方でも、「名前は聞いたことが……」というレベルかもしれない(ゴメンナサイ、ぼくもそうです)。
現在はオーストリア・ブンデスリーガでプレーしているベガ。オリンピックへの出場は2回目だが、前回の出場はなんと2004年のアテネ五輪。ダブルスでの出場で、初戦で敗れている。その後、2012年のロンドン五輪では、南米予選の代表決定戦でゲームオール12−14で敗れ、ほんのわずかな差で五輪出場を逃した。東京五輪は、20歳での初出場から実に17年ぶりのオリンピックだ。
そしてその大舞台で、ベガはモンゴルのバトムンクにストレート勝ちを収め、大会前に目標に掲げていた「五輪1勝」を達成。ベンチに入っていたのは旦那さんだろうか、それともお父さんだろうか。今大会、選手に話しかけるのは厳禁なので、確認できなかったが、笑顔で何度も抱擁を繰り返すシーンに胸がいっぱいになった。
続く2回戦ではサウェータブット(タイ)に0-4で完敗。17年ぶりのオリンピックは終わりを告げたが、このコロナ禍の中で、1年延期されたオリンピックに出場できたこと、そして初勝利を挙げたことは、彼女にとって一生の思い出となって残るだろう。本当におめでとう!
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