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前回7種目Vの中国、アジア選手権にエントリーせず

8月23日、中国卓球協会は9月28日〜10月5日に行われる第25回アジア卓球選手権(カタール・ドーハ)に選手団を派遣しないことを発表した。

中国男子チーム監督であり、事務担当のトップである「秘書長」を兼任する秦志戩は、欠場の理由について今年後半の大会の過密日程を挙げている。中国では9月17〜26日まで陝西(せんせい)省延安市で、中国の「国内オリンピック」と言われる第14回全中国運動会・卓球競技が開催。航空会社が国際線を大幅に減便している現状では、9月28日から開幕するアジア選手権への移動は難しい状況だ。

また、アジア選手権に出場した場合、代表選手たちは帰国後に最低21日の隔離期間が必要となる。中国卓球協会は、ここ数年開催時期が安定していない中国卓球クラブスーパーリーグを10月から行うことを計画しており、秦志戩秘書長は「スーパーリーグでの実戦を通して、若い選手たちを鍛えていきたい」とコメント。さらに世界選手権個人戦(11月23〜29日/アメリカ・ヒューストン)に向けた集合訓練も予定されており、アジア選手権出場に伴う長期の隔離期間は影響が大きい。

中国女子チームの李隼監督は、次のようにコメントしている。「今回のアジア選手権は、来年の世界選手権団体戦(中国・成都)の出場資格を懸けた大会となるが、それは我々にとって意味を為さない。オリンピックという重要な任務を終えた今、選手たちに必要なのは身体の調整であり、その後は全中国運動会と世界選手権個人戦に向けて全力で準備を進めることになる。チーム全体の強化や調整を考えれば、アジア選手権の欠場は最良の選択だ」。

前回の第24回大会(2019年9月15〜22日/インドネシア・ジョグジャカルタ)では、男子の馬龍を除くベストメンバーをエントリーさせ、男女団体はオール3−0の完全優勝。個人戦5種目の決勝はすべて中国勢同士の対戦となるなど、圧巻の強さを見せた中国。東京五輪直後の今大会では、若手を中心にエントリーすると見られていたが、スーパーリーグの開催によって若手選手の派遣も難しくなってしまった。

 

19年ジョグジャカルタ大会で男子シングルスを含む3種目優勝を果たした許昕(写真は東京五輪)。中国選手団は東京五輪から帰国後、まだ隔離状態の中でトレーニングを続けている

 

近年は各国とも若手選手主体のエントリーが多く、存在感が薄くなっているアジア選手権だが、中国にとっては縁(ゆかり)の深い大会だ。アジア卓球連盟(TTFA)に加盟しておらず、1952〜1970年に行われたTTFA主催のアジア選手権には出場できなかった中国。しかし、1971年世界選手権名古屋大会での『ピンポン外交』を契機に、中国を加えた連盟設立が提案され、1972年にアジア卓球連合(ATTU)が誕生。ATTU主催のアジア選手権の第1回大会が同年に北京で行われ、中国はその後も欠かさず選手をエントリーしてきた。

初のアジア選手権欠場は、中国にとって小さいようで大きな転換点と言えそうだ。

 

19年ジョグジャカルタ大会女子シングルス優勝の孫穎莎(写真は東京五輪)

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