●男子シングルス1回戦
渡辺啓記(立川国際) -8、5、-6、7、-11 金子竣斗(添上)
全国各地の予選を勝ち抜いた選手たちがしのぎを削るインターハイ。シングルスへの出場は決して簡単ではなく、各県でシングルスの代表になっている選手は、県で1、2位のいわゆる「強豪校」の選手であることが多い。そんな中で、全国的に名が知れ渡っていない高校からシングルスに出場する選手も少なからず存在する。今大会に出場した立川国際(東京)の渡辺啓記もその1人だ。
都立高校で決して部活が盛んではない立川国際に通う渡辺は環境を言い訳にせず、平日は地域の体育館で、休日は明大八王子などの他校に足を運んで練習に励んだ。1年時の東京都予選は6回戦敗退(ベスト128)、2年時はベスト16とインターハイにわずかに届かずにいたが、ひたむきに努力を続けた結果、今年の東京都予選は7位で見事通過。3年生にして最初で最後のインターハイ出場を果たした。
迎えたインターハイ本戦では1回戦で添上(奈良)の金子と対戦。回転のわかりづらい巻き込みサービスと、豊富な運動量のフットワーク、安定感のあるフォアハンドを武器に得点を重ねるが、金子も引き下がらずにフルゲームへ。最終ゲームは8-10とリードされた場面からジュースに追いつくも、「最後は弱気になってしまった」と11-13で惜しくも敗れて2回戦進出とはならなかった。
試合後、悔しさをにじませた渡辺だが、「負けてしまったけど、全国の舞台を経験して強くなったのかなと思う。人間面でも卓球面でも、これからも頑張っていきたいです」とコメント。ベンチに入った宮本監督も、「本当によく頑張ったと思うので胸を張って帰ってほしい。学校や地域の仲間にも頑張ったということを報告したいと思います」と、渡辺の活躍を讃えた。
また、今大会に立川国際からインターハイに出場したのは渡辺ただ1人のみのはずだが、試合では渡辺が点数を取るごとに観客席から大声援が飛んでくる。観客席を見てみると、そこには普段渡辺が練習に参加している明大八王子の部員の姿が。点数を取るごとに「落ち着いて」「もう一本」と渡辺を鼓舞する観客席。それに応えるように点数を取るたびに観客席に向かってガッツポーズを見せる渡辺。学校は違えど、そこには確かな絆があった。
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