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チームジャパンで取ったパリパラ金。森美紗樹・知的女子コーチが語る

「パリ2024パラリンピック」卓球競技でメダルを獲得した、クラス11(知的障がい)の和田なつき(金)と古川佳奈美(銅)。2人のインタビューを最新号(卓球王国2024年12月号)で掲載している。

メダル獲得の可能性が高いと言われた和田と古川は、いずれも初戦の準々決勝を快勝してメダル獲得を確定。順当な勝ち上がりに見えたが、実際は2人とも初戦から極度の緊張と戦っていたことが、インタビューでは語られている。

そして準決勝で、和田は世界ランキング1位のエイサー(トルコ)との激戦を制して決勝進出。一方の古川は東京大会金メダリストのベテランカットマン、プロコフェワ(NPA)に接戦の末に惜敗。準決勝の結果は明暗を分ける形となった。

こうして迎えた決勝で、和田はプロコフェワに3-1で快勝。決勝の会場に入った時に「立っていられないほど」緊張したという和田だが、いざ試合が始まると非常に安定したプレーで、高い守備力を誇るプロコフェワを圧倒した。

金メダルを決めた和田は、涙のガッツポーズ、そして観客席に向かって何度もおじぎをして手を振り、感謝の意を伝えた。

優勝を決めた後の和田と、和田を支えた永富聖香コーチ(写真:ITTF)

実はこの決勝の前、古川を含む「チームジャパン」が和田をバックアップしていた。

古川は和田にプロコフェワの戦術について伝え、選手の「モノマネ」が上手い古川のコーチ・井保啓太は、プロコフェワのカットを模倣して和田の練習相手を務めた。また肢体不自由・車いすの山本恒安監督(元日本代表のカットマン/上写真右)も練習相手を買って出た。準々決勝で敗退していた男子クラス11の竹守彪はボール拾いを自発的に行い、また肢体不自由の選手たちも知的の選手へアドバイスしたり練習相手を務めるなど、パラ卓球「チームジャパン」全体で協力し合う空気があったのだ。金メダルを獲得した和田は「チームジャパンで取れた金メダルだと思います」とコメントしている。

日本知的障がい者卓球連盟選手団。前列(選手)左から古川佳奈美、和田なつき、竹守彪。後列(コーチ陣)左から永富聖香、森美紗樹、井保啓太、石川貴陽、中村孝太郎、佐藤守重

日本知的障がい者卓球連盟・女子コーチである森美紗樹さん(記事上部写真の左、整列写真の後列左から2番目)に、今回のメダル獲得について聞いた。

「古川さんは準決勝で敗れたけど、対カットでやれることはやれたと思う。悔しかったと思うけど、気持ちを切り替えて、試合後に挨拶しにきてくれて、すぐにその後の応援に入った。これはなかなかできないことだと思います。和田さんが優勝できるよう、井保コーチが練習相手をすることも快諾。皆が勝つためにチーム一丸となれた結果の金メダルだったと思います。本当に良い選手たちだと思いました。

古川さんはふだんは明るく人懐っこい、おしゃべり大好きな子。勝負に関しては負けず嫌いで、東京パラで悔しい思いをして、メダルをとる気持ちは人一倍強かったと思う。根が優しく、帰国後にサプライズで選手たちから私にプレゼントをしてくれたんですが、それも古川さんの発案です。

和田さんは日々周囲を見て気遣いする優しい子。大会中は『楽しみだけど怖い』という気持ちだったと思う。試合前によく泣いていたけど、逆にそれで不安を発散できていたのかも。本当に素直な子で、人の話をしっかり聞いて、どうすれば問題を解決できるかを自分で考えられていた。試合では向かっていく気持ちでプレーができていて、気持ちで相手をリードできていたと思います。

メダル獲得という結果ももちろんうれしいけど、チーム全体で協力していた部分も評価したいです。若手にも見てもらい、受け継いでいってほしいですね」(森コーチ)

選手たちが感謝のコメントを書いたプレゼントを森コーチに贈った

和田なつきと古川佳奈美、そして彼女らを支えたコーチ陣のインタビューは、単なるメダル獲得への喜びを越えた、温かい気持ちが伝わってくるものとなった。ぜひご一読いただきたい。

★卓球王国2024年12月号詳細はこちら

★和田なつきインタビューは有料サイト「卓球王国PLUS」でも掲載

(古川佳奈美インタビューも卓球王国PLUSで近日公開)

2人のメダリスト、和田(左)と古川が表彰式後に自撮り

(和田と永富コーチの2ショット以外の写真提供:日本知的障がい者卓球連盟)

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