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世界卓球2025

ダブルスプレーヤー2人が見せたコンビの妙。ブラッサ/ドーアがフランス勢28年ぶりとなるメダル獲得

 カタール・ドーハで行われている世界卓球選手権個人戦。昨日行われた男子ダブルス準々決勝でブラッサ/ドーアがO.イオネスク/ロブレスを3-2で破り、フランスにとって1997年大会以来の世界卓球男子ダブルスのメダルをもたらした。(写真:ITTF)

 

●男子ダブルス準々決勝
ブラッサ/ドーア(フランス) -8、7、-4、11、6 O.イオネスク/ロブレス(ルーマニア/スペイン)

 

 張本智和/松島輝空を下したO.イオネスク/ロブレスにゲームカウント1-2とリードされたブラッサとドーアだが、4ゲーム目をなんとかジュースで奪って最終ゲームに持ち込む。最終ゲームは5-5から連続得点でリードを広げて、そのまま11-6で勝利を決めた。フランス勢の男子ダブルスでのメダル獲得は1997年大会のガシアン/エロワ以来28年ぶりのことだった。

サウスポーのドーアが前陣で仕掛け、ブラッサが中陣から強打を放つ

 シングルスの世界ランキングはドーアが99位でブラッサが134位と、失礼ながら「世界トッププレーヤー」と呼べるほどの存在ではない。それでも男子ダブルスの世界ランキングでは4位につけており、「世界トップペア」であることは間違いないブラッサ/ドーア。今大会も男子ダブルスのみにエントリーされている。

 現在は男子日本代表のコーチを務め、ダブルスの名手でもある森薗政崇に「良いペア、強いペアとは?」と聞いたことがあるが、彼はこう答えていた。

 「ダブルスはペアリングがすごく大きい。強い選手でも『じゃあこの選手と組んでください』と急に言われて10分後に試合をさせたら、すごく弱いってことも結構あります。やっぱり、ペアを組むことで2人がシングルス以上の実力を出せるのが良いペア。実力が足し算じゃなくて掛け算になる感じです」(森薗)

 ペアを組むことでシングルス以上の実力を発揮する。ブラッサ/ドーアもまさにそんなペアだろう。

準決勝進出、メダル獲得を決めて歓喜の絶叫

 ともに2000年生まれでジュニア時代にもペアを組んでジュニアサーキットに出場していたブラッサとドーアは、2023年からWTTに出場。同年12月のWTTフィーダー ビエッラで初優勝を果たすと、2024年にはWTT2大会で優勝するなどコンスタントに上位に進出。WTTファイナルズでも3位となり、今年2月には男子ダブルス世界ランキングを3位まで浮上させた。ダブルスでの成功について、ブラッサはフランス卓球協会のインタビューでこう答えている。

 「シングルスや個々の実力が上の選手たちに勝利するには、何よりも自分たちの強みをどう発揮するかが大切で、それを2人で深く考えました。そうして私たちはお互いを補いながら、パートナーが得意な部分で勝負できるようになったと思います。

 ダブルスでの練習も試合のない時期には週に2時間、試合が近い時期には1日2時間行っています。ペアで多くのボールを打って、動きを洗練させていくのです。練習を重ねて自分たちのプレーを分析し、試合でのパターンを見つけて繰り返し強化していくことが私たちを成長させました。

 ダブルスは共同作業であり、互いに意見を交換し、励まし合う必要があります。お互いができるだけ快適にプレーできるよう、あらゆる努力を尽くさなければなりません。これがダブルスで楽しみながら最大限の力を発揮する方法だと私は考えています」(ブラッサ)

 準決勝では篠塚大登/戸上隼輔vs.エルベイアリ/アブデルアジズ(エジプト)の勝者と対戦するブラッサ/ドーア。これまでフランスは国際ペアでの決勝進出はあるが、フランス選手同士のペアでの決勝進出はなし。準決勝でもコンビの妙を披露できるか。

試合後はベンチで喜びに浸った2人

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