卓球王国 2024年11月21日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
全日本選手権2021

クレバーな若き王者・及川瑞基「パリ五輪のメンバーに食い込みたい」

 男子シングルス4回戦で前回チャンピオンの宇田幸矢が敗れ、さらに前回3位の戸上隼輔が明治大学の選手から新型コロナウイルスの感染者が出たため、大会を棄権。序盤から優勝候補が次々に姿を消していった今大会の男子シングルス。さらに準々決勝では、東京五輪代表の張本智和と丹羽孝希が相次いで敗れ、優勝戦線は混沌としていた。

 その中で勝ち抜いたのは、最後まで冷静なプレーを貫いた及川瑞基。威力と安定性を兼ね備えたバックドライブでバック側2/3をカバーし、フォア前に浮いたボールには、若手選手の中では珍しい威力あるフォアフリックで打ち抜く。チキータも得意だが、チキータだけに頼らずに展開を組み立てられる多彩なテクニックが持ち味だ。台から下がっても実に粘り強い。

 この優勝を自信に、さらなる飛躍が期待されるクレバーな新チャンピオン。優勝のリモート会見でのコメントは下記のとおり。

静かに拳を固めながら、クレバーなプレーを貫いた及川

★及川瑞基・優勝会見でのコメント

 「目標にしていた優勝が本当に実現すると思っていなかったので正直ビックリしているんですけど、うれしいのひと言です。

 準決勝までずっと相手が右利きで、決勝で初めて左利きだったのでやりづらかった。森薗選手はとても自分にはやりづらい選手。スコアも1-3になって負けていたんですけど、決勝はなにが起こるかわからないと思っていたし、そこのチャンスをものにできた。

 自分は小柄なので、なるべく台から下がらないことを意識しています。張本選手との準々決勝が自分のポイントで、そこを勝ち切ったことで決勝も良いプレーができた。ベスト4に五輪代表が残っていないので、自分にもチャンスがある、絶対それをつかみ取ろうと思った。今大会はアグレッシブに攻めることができたので、これからも磨きを掛けていきたい。

 ぼくは7年間ドイツでプレーして、試合をしながら経験を積み、対応力やひらめきを鍛えられたという点では海外での経験が良かった。大学の時には本業は学生で、卓球にのめり込む時間が少なかったけど、プロになって卓球に集中できている。重みを感じます。プロになってからのほうが練習時間はとても多くなって、大学の時よりは間違いなく多い。

 最近、日本男子のレベルはとても上がっているし、層が厚い。自分もそろそろ若手ではなくベテランの域に入ってくるけど、Tリーグでは多くの日本人選手と戦って、研究もできた。全日本で優勝できたので、世界の舞台やオリンピックに選ばれるように頑張っていきたい。

 張本選手からは『最終日頑張って優勝して』と連絡をもらいました。パリ五輪に向けて、これから自分もそのメンバーに食い込んでいけるように頑張ります」

ブンデスリーガ仕込みの経験とTリーグで得た自信が、及川を新王者の座に導いた

関連する記事