●男子学校対抗・準々決勝
愛工大名電(愛知)3-0 関西(岡山)
出雲北陵(島根)3-1 明徳義塾(高知)
育英(兵庫)3-2 鶴岡東(山形)
明豊(大分)3-2 野田学園(山口)
男子学校対抗・準々決勝、フロアに残った最後の一戦となったのは明豊対野田学園。野田学園の応援団、そして明豊の応援団には明豊の女子チームや、都城商業など九州地区のチームも加わり、「九州連合」の様相を呈した。
明豊はトップ木塚陽斗が、野田学園のレギュラーで唯一の右腕である岩井田雄斗の粘り強い攻守にも動じず、ストレート勝ち。しかし、2番は野田学園のエース格・三木隼が植木大陽をゲームオールで破り、1−1のタイ。勝負のポイントは「要(かなめ)」の3番ダブルスとなったが、明豊の木塚陽斗/岡田空が、スコアは競り合いながらも野田学園の三木隼/木方圭介を完封。三木/木方が「決まった!」と感じるようなボールでも、中・後陣からのバックドライブで打ち抜く木塚のプレーは見事だった。
それでも、後半には全日本ジュニアベスト8の木方と芝拓人が控える野田学園。「地力に勝る野田学園が競り勝つか」と思われたのだが、勝負強さを見せたのが明豊のラスト高橋拓己。188.4cmの長身とガッツポーズで見せる跳躍は、「ハイジャンプ(走り高跳び)をやればジュニアトップクラスでは?」と思わせるほど。芝の両ハンド連打に対して台から下がりすぎず、両ハンドで受け止めて反撃に転じる。サービスは低く鋭く切れた下回転系で芝のチキータを封じ、長いツッツキを回転量の多いループドライブで攻め、プレッシャーをかけていく。
4ゲーム目は10−8、10−9、11−10と3回のゲームポイントで芝のミドル攻めに苦しみ、決めきれなかったが、「最後までいったら絶対に相手より先にミスをせず、下がりすぎず中陣で入れていくことに徹しました」と試合後に語った高橋。最善を尽くしたプレーで勝利をつかんだ。
1本取るたびに咆哮(ほうこう)した後、ベンチの藤本(賢司)監督に視線を送り、静かに拳を固めた高橋。ふたりの絆を感じさせるシーンだった。「藤本先生はひとり離れてぼくらを見守っていて、自分がガッツポーズをしても『よし!』という感じで見守ってくれて、安心して試合をすることができた。本当に心強かったです」(高橋)。殊勲の星を挙げたビッグヒーローは、「野田さんに勝ったからには絶対に日本一を獲るつもりでいきたい。明日の準決勝で育英さんに勝って、決勝に駒を進めたいと思います」と語った。
3月の高校選抜を制した野田学園、今年はついに学校対抗で悲願の優勝か、と予想した卓球ファンも多かったはずだ。しかし、3回戦の東山戦でも3番ダブルスを落として3−2と苦戦。三木と木方の左腕ダブルスの調子が上がらず、「勝利の方程式」がうまく組めなかった。やはり4単1複の団体戦はダブルスが要(かなめ)だ。
愛工大名電は関西をストレートで下したが、2回戦で希望が丘、3回戦で関東チャンピオンの実践学園を破った関西の充実ぶりは光った。中国大会で野田学園や出雲北陵など、全国トップクラスのチームに揉まれ、「強いチームの胸を借りてやっているから、どんな相手でも名前負けしない部分はある。競った試合で勝てたのも中国大会での経験は大きいと思います」と柏幸浩監督は語る。今では貴重な左シェークのバック表攻撃型、1年生の岸本漣斗が団体戦のラッキーボーイとなった。
出雲北陵は4番で勝利を挙げた佐藤卓斗主将をはじめ、両ハンドの守備力が高く、クレバーに試合を進められる選手が揃っているのが強み。明徳義塾戦は互角の熱戦だったが、3年生の佐藤と2年生左腕の小野泰和、単複出場のふたりが3点を挙げて勝利をつかんだ。
育英と鶴岡東は大激戦だった。鶴岡東は持ち前のフィジカルの強さとフットワークは健在ながら、巧みにYGサービスを操る埋木大智やロングサービスがうまい多田啓佑など、各選手のサービスの個性が際立っていた。一方、昨年の主力だった3年生が卒業しながら、2年生の武智颯汰の渋い試合運びや、1年生のスーパールーキー・谷本拓海の活躍が光り、今年もベスト4に駒を進めた。
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