●男子学校対抗決勝
〈愛工大名電 3−0 明豊〉
◯坂井雄飛 -7、-1、3、2、8 木塚陽斗
◯面田知己 4、-11、3、6 植木大陽
◯中村煌和/萩原啓至 8、8、6 木塚陽斗/岡田空
16時52分に両チームがコートに整列した男子学校対抗決勝は、18時には終戦を迎えた。準々決勝で野田学園、準決勝で育英を連破し、破竹の進撃で勝ち上がった「坊主軍団」明豊の勢いを、6連覇中の絶対王者、愛工大名電は見事な横綱相撲で寄り切ってみせた。
しかも名電のトップ坂井は2年生、2番面田は1年生。「オーダーを前半重視にするか、後半重視にするかは最後まで迷っていたけど、坂井の力を信じてトライした。『1・2年生でいってみよう!』と。たとえ前半で0−2になったとしても、1・2年生のふたりなら未来につなげてくれる。そして今までうちを引っ張ってくれた3年生の萩原と中村なら、0−2でもダブルスからひっくり返してくれるだろうと信じていました」。試合後、愛工大名電の今枝一郎監督は語った。
2台進行の1・2番は、まず2番面田が植木に勝利。明豊のキーマン・植木は広角に放つ両ハンドのカウンターが冴えたが、面田は1ゲーム目の出足から決勝のプレッシャーを全く感じさせず、強烈なバックドライブを連発。準決勝まで起用していた加山が、全日本ジュニアで植木に敗れていたことを受け、挑戦者として戦える面田を起用した今枝監督の采配が当たった。
一方、1番は2ゲーム目を木塚が11−1で奪うなど、一方的な展開で2−0でリード。しかし、坂井は3ゲーム目からタイミングの早いレシーブで木塚の3球目攻撃を強く打たせず、ゲームカウント2−2に追いつく。最終ゲームは中・後陣での強攻から、前陣でのブロックに切り替えた木塚が4−0とリードしたが、ここでタイムアウトを取った坂井がジワジワと追い上げ、終盤で逆転。昨年の学校対抗決勝での敗戦を払拭する見事な勝利を収めた。
ベンチでのアドバイスでは、何度も「自分を信じよう」というキーワードを口にした今枝監督。「余計なことをしていると感じるプレーはひとつもなかった。選手たちはところどころ工夫しながら、しっかり鋭いスイングでプレーしてくれたし、坂井はぼくが『こうしなさい』と言う前に、自分から『これではいけない』と宣言していましたから。自分の考えを信じてもらえばよかった。面田にしても、『今のプレーで合っているんだから勝っている』『このままで良いよ』と伝えました」(今枝監督)。
3番ダブルスは昨日の男子ダブルス決勝で激戦を演じており、双方ともそこからの戦術転換が難しかったが、中村/萩原が終始主導権を握っていた。「今日は出足から、昨日の男子ダブルス決勝の後半のような(長いツッツキなどを使う)プレーをしてくるかと思ったら、普段とあまりプレーを変えてこなかった。だから中村/萩原も落ち着いてプレーできたと思います」(今枝監督)。
木塚/岡田の攻撃を1本止めると、すかさずフォアのカウンターで反撃に転じた中村/萩原。最後の1本も萩原が後陣から飛びつきざまに強烈なフォアドライブを決め、その場で歓喜のジャンプ。迷うことなく試合を決めてみせた。
これで男子学校対抗での連覇は「7」。昨年度大会の男子シングルス決勝を戦った鈴木颯・吉山僚一という3年生コンビが卒業し、3月の高校選抜では野田学園にタイトルを奪われた。しかし、「選抜に負けて楽になったというか、ひとつ区切りをつけることができた。新しい練習も取り入れました。今までは守るほうだったので、あまりこうしよう、ああしようと言いにくかったけど、自由に言いやすくなった」と今枝監督は語る。
結果的に最大のヤマ場となった準決勝の出雲北陵戦は、後半に出場した3年生コンビが最後に底力を見せ、決勝では前半に出場した1・2年生が試合の流れを作った。代替わりしても変わらない、ここぞの場面で1本を取り切るプレー。北の大地でも、王者・名電はやはり強かった。
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