昨年まで新型コロナウイルス感染症対策として、様々な規制や制限がある中で行われたインターハイ。
その脅威が完全に去ったわけではないが、今年5月に新型コロナが5類感染症に移行したことで、行動制限などはほぼなくなった。観客席から降り注ぐ部員や保護者からの声援、ベンチで跳躍する男子選手、会場中に響き渡る女子選手の甲高い応援。その中に身を置くと、「インターハイが帰ってきたんだな」と感じる。
一本取るごとに大きな声を出し、ガッツポーズを繰り返す選手たち。この舞台で戦っていくのは、対戦相手よりもまず自分にのしかかるプレッシャーとの戦いだ。時に冷静に、時に熱く、メンタルをコントロールして戦えればベストだが、選手たちはまだ高校生。私だって、声を出して戦わなければプレーできない選手のひとりだった(インターハイにはほど遠いレベルでしたが)。
「声を出したら、やっぱり燃えるというか、声というのは頑張りの表現のひとつだと思っている」と語ったのは、鶴岡東高の杉野森大輔監督。ファイトあふれる「鶴東スタイル」も今大会で完全復活だ。
「うちは試合の時だけではなく、普段の練習から声を出してやっている。私たちは『人間力』をテーマに部活動をやっているので、明るく元気に、一生懸命が当たり前。試合の時だけ無理してやっているわけじゃない。これまでは大会でそれが規制されていたので、なかなか普段どおりにはいかなかった。
今大会は自分たちの良さが出せたと思うし、育英さんには最後は力不足で負けてしまって子どもたちは悔しがっていたけど、ひとつ良いきっかけになるんじゃないかと思います。今回の良かった部分と、味わった悔しさを来年山形で開催される高校選抜にぶつけられたらいいと思います」(杉野森監督)
一方で、ベンチの大声援の中でも大きな声を出さず、静かに拳を固めながら淡々とプレーする選手もいる。戦い方は十人十色、そしてインターハイに懸ける熱い気持ちは変わらない。
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