男子学校対抗準決勝は、2試合とも手に汗握る好ゲームだった。
6連覇中の愛工大名電を「あわや」というところまで追い詰めたのが出雲北陵だ。トップで小野泰和が加山雅基を3−1で破り、今大会無失点の王者・名電から1勝を挙げた。3番ダブルスも接戦だったが、佐藤卓斗/小野泰和が3ゲーム目9−4のリードを守れず、惜しくも逆転を許す
そして1−2で迎えた2台進行の後半。4番の佐藤卓斗対萩原啓至、5番の肖騏駿対中村煌和、ともに2−0とゲームをリードした。そして4番佐藤はゲームカウント2−1の4ゲーム目、9−7までリードを保ち、全日本ジュニア王者をあと一歩まで追い詰めたが、最後は萩原が底力を見せた。
「出雲北陵スタイル」を象徴するプレーヤーが、キャプテンの佐藤卓斗。強烈なチキータを連発するわけではないが、正確な台上プレーと「理詰め」の両ハンドの連続攻撃は、「イケイケ」の選手が多いインターハイで逆に個性が光る。どんな好プレーにも顔色ひとつ変えないかと思えば、勝負どころではどんどん声を出したりと、試合運びやメンタルのコントロールにも長けている。
「団体戦で勝つためには、リスクを犯すより、決まるまで連続攻撃していくプレースタイルが良いと思います。いろいろ指導者の好みはあると思いますが、ぼくはそういうプレースタイルが好きですね」と語るのは古瀬泰之監督。「ぼくが青森山田で指導者としてのキャリアをスタートさせたのも、理由のひとつかもしれません」。
今、中国大会には実力校がひしめいている。今大会では出雲北陵、野田学園、関西の3校がベスト8に入り、新興の呉青山も力をつけている。両ハンドの破壊力で相手を圧倒する野田学園のような強烈な個性ではないが、出雲北陵の「渋い」プレーも個性がキラリと光る。
「来年に向けて、名電さんを倒さないと日本一はない。確実に前進していると感じるので、あと1年力をつけていきたいですね」(古瀬監督)
ツイート