卓球王国 2024年10月21日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
インターハイ2023

男子ダブルス優勝は中村煌和/萩原啓至、左腕ペアの友情で窮地を脱す!

【男子ダブルス】
優勝:中村煌和/萩原啓至(愛工大名電)
準優勝:木塚陽斗/岡田空(明豊)
3位:佐藤卓斗/小野泰和(出雲北陵)、三木隼/木方圭介(野田学園)
ベスト8:高橋慶太/谷本拓海(育英)、坂本蓮/趙禹潼(瓊浦)、梅木大智/阿部鴻憲(鶴岡東)、日高智貴/佐野和輝(大阪桐蔭)

●男子ダブルス決勝
中村煌和/萩原啓至 4、0、−9、−9、9 木塚陽斗/岡田空

男子ダブルス優勝は愛工大名電の3年生ペア、中村煌和/萩原啓至!
サウスポー同士のペアリングで初優勝!

古臭い言い回しをすれば、まるでジェットコースターのような男子ダブルス決勝だった。準決勝でともにストレート勝ちを収め、その強さを見せつけた両ペア。中村/萩原は強力なチキータでのレシーブから、ストレートやミドルに強力なカウンターを打ち分け、木塚/岡田は木塚の意外性の両ハンドカウンターから、岡田が迷わずフォアドライブを振り抜く。

決勝は出足から、中村/萩原が明豊ペアを圧倒。他のペアより一段、二段質の高いチキータとカウンターで、木塚/岡田を一方的に押しまくり、変化をつける余地を与えない。2ゲーム目は中村/萩原のチキータが何本もレシーブエースとなり、なんと11−0で決着。種目を問わず、インターハイの決勝でラブゲームというのは滅多にないだろう。

威力と安定性を兼ね備えたチキータでのレシーブで、決勝序盤は明豊ペアを圧倒した中村/萩原

しかし、ここから木塚/岡田は開き直る。レシーブを深く強く切るツッツキレシーブに切り替える。カット+攻撃のオールラウンド型、木塚のバックツッツキは相手ペアを試すようにゆっくりと飛び、ストレートに強振した名電ペアのドライブにミスが続く。

3ゲーム目から明豊ペアのバックツッツキでのレシーブが、名電ペアにプレッシャーをかけた

窮余の一策ではあっただろう。しかし、捨て身の明豊ペアの戦術が名電ペアにプレッシャーを懸け、岡田のバックサービスも効果を発揮し、3ゲーム目と4ゲーム目を明豊ペアが連取。応援席に陣取った大応援団が沸き立つ。勝負はまったくわからなくなる。

最終ゲームは序盤の競り合いから、木塚/岡田が5−2と抜け出してチェンジコート、そして7−4。中村/萩原は2ゲーム目のラブゲームから一転、絶体絶命の状況に追い込まれたが、「大丈夫だ、お前ならできると一球ごとに中村に言っていた」と試合後の萩原。それまでややミスの多かった中村が奮起し、終盤で追いつき、最後は11−9で名電ペアが勝利。勝利後のベンチで座り込んだまま動けなかった中村/萩原、どちらが勝者かわからないほど、激しい戦いだった。

中村/萩原ペア、優勝に歓喜の抱擁

優勝後、ベンチで座り込んだ中村/萩原。すべてを出し尽くした男子ダブルス決勝だった

「萩原とのダブルスは高校1年から組んでいた。高校2年の時はお互い、鈴木(颯)さんと吉山(僚一)さんと組んだけど、高校1年で組んで頑張ろうと言って出たらすぐ負けてしまった。そこからエースダブルスとしてすごく練習してきて、組む機会もあとこれが終わると全日本くらいしかない。絶対優勝したいと思っていました。最後の最後で優勝できて良かったです」。試合後に涙を浮かべながら語った中村。

一方、萩原は昨年の鈴木颯とのペアに続き、インターハイのダブルスで2連勝。「インターハイ前に自分があまり寮にいなくて、しっかりダブルスの練習ができない中でインターハイを迎えて、正直不安しかなかった。煌和とは同級生ですし、一球一球グータッチをして、一戦一戦乗り越えたことでこの結果につながったのかなと思います。決勝は最後は開き直って、友情で勝ちました」(萩原)。

表彰式ではふたりで力強く優勝杯を掲げた

 

明日の男子学校対抗決勝の3番ダブルスの前哨戦ともなった男子ダブルス決勝。団体戦の要のダブルスで、明日は両ペア、どのような戦術転換を見せるのか、興味が尽きない。

準優勝の木塚陽斗/岡田空(明豊)。決勝での戦術転換とリカバリーは見事だった

3位の佐藤卓斗/小野泰和(出雲北陵)。学校対抗の激戦を乗り越え、ダブルスでも奮闘

関連する記事