今大会の学校対抗でベスト8以上に進出した学校の中で、男女通じて唯一公立校でのベスト8入りを果たした女子・青森商業。私立隆盛の現代において、明誠、正智深谷、札幌大谷、新潟産大附と強豪私立校が集った女子の最激戦区を勝ち抜いてのベスト8入りは見事だ。準々決勝では四天王寺にストレートで敗れたが、宗片信一監督は選手を讃えた。
「厳しい激戦ブロックを抜けて、四天王寺さんとやれるところまで来られて良かったと思います。選手たちも出せるものを出して頑張ってくれました」
青森商業は昨年、40大会ぶりに学校対抗に出場したが、1回戦で慶誠に2-3で敗れて初戦敗退。しかし、今春の選抜ではベスト16に勝ち進むなど着実に力をつけ、インハイ前の東北大会も制して「まずは昨年果たせなかった1勝」を目指して今大会に挑んだが、その目標を大きく上回る成績を残した。
青森商業と言えば、世界チャンピオンに輝いた河野満をはじめ、多数の名選手を排出してきた卓球王国・青森の中でも屈指の伝統校。2017年の校舎移転に伴い、卓球場も新設され「練習場が新しくなって、もっともっと頑張らなければと思ってやってきた」(宗片監督)と今大会の躍進のひとつの要因となっている。8名いる部員は全員が自宅から通学。地元で育った選手たちだけで全国ベスト8入りを果たした。
「ウチは全員が自宅から通っている環境ですが、ベスト8に入れたことは、どこのチームでも『やればできる』ということだと思っています。もっともっと頑張れば、公立でも勝っていくことはできるはずです。
ウチの選手はレベルはそれぞれだけど、それぞれが目標を持って、それぞれが頑張っています。その中で目標を持って『簡単にブレるんじゃないよ』ということはよく言っています。それと卓球だけ頑張っていても、卓球は勝てないよともよく言いますね。学校の行事だったり、勉強だったり、奉仕活動だったり、どんなことにも積極的に取り組もうと。そういう中で卓球にプラスになることがたくさんあって、結果的に勝てるようになるんです。感謝の気持ちと奉仕の気持ちを持って物事に取り組んでほしいなと思っています」(宗片監督)
長い歴史を受け継ぎ、卓球場の壁には何十年もの間、「日本一」という目標が掲げられているという。
「今の時代、それがなかなか難しいことはわかっています。でも、それを目標にこれからも努力していきたい」(宗片監督)
新たな歴史を刻んだインハイを経て、伝統校はまだまだ日本一へ挑み続ける。
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