卓球王国 2024年12月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
インターハイ2023

迷わず振り抜いたバックハンド。三木隼、全国大会初の決勝で頂点を極める!

●男子シングルス決勝
三木隼(野田学園・山口)10、9、-7、13 萩原啓至(愛工大名電・愛知)

男子シングルスで優勝を飾ったのは、野田学園3年の三木隼(はやと)。野田学園勢の男子シングルス優勝は、2018・2019年大会2連覇の戸上隼輔以来、2人目。また左利きの男子シングルスのチャンピオンは、2016・2017年大会優勝の木造勇人以来となった。

優勝の瞬間、天を仰いだ三木。全国大会初の決勝の舞台で勝利

観客席の声援に応える三木と、激戦の連続を戦い終えてコートに倒れ込んだ萩原

今年1月の全日本ジュニアでは準々決勝で萩原に敗れていた三木。昨年のインターハイで「あと1本」で決勝進出を逃して3位に終わり、その後は思うような結果が残せず、「自分が本当に強くなっているのかわからなくなった、自分に自信を失くしていた」という。

その三木にとって、大きかったのはたびたび野田学園を訪れ、現役生とボールを打ち合ってくれた先輩たち。平野友樹、有延大夢、戸上隼輔など国内トップクラスの選手たちが練習場に姿を見せ、技術のみならず戦術の組み立て方や試合での頭の使い方など、様々なアドバイスをくれた。

「ぼくは戦術の組み立て方や、試合での頭の使い方が良くなかったので、OBの先輩方にアドバイスをもらいながら、そこを意識して毎日練習していました。
決勝でも『勝ちたい、勝ちたい』という思いをなるべく抑えて、頭の中は冷静に戦えたと思います。萩原選手は回り込みがうまい選手なので、なるべく回り込みをさせないこと、フォア前にサービスを集めることを心がけました。これも試合前に有延さんがLINEでいろいろアドバイスをくれたので、すごく感謝しています」(三木)

決勝で三木に惜しくも敗れた萩原。4ゲーム目は二度のゲームポイントを奪うも、押し切れず

決勝の勝負のポイントは4ゲーム目。ゲームカウント2−0とリードした三木だが、「少し勝ちを意識して力が入ってしまった」と3ゲーム目を萩原に取られ、4ゲーム目は一進一退。9−10の萩原のゲームポイントをしのいだあと、11−10、12−11での2回のマッチポイントを決められない。逆に12−13で再びゲームポイントを握られ、ここを落として最終ゲームに持ち込まれると試合の行方はわからなかった。

「4ゲーム目の12−13の場面で、思い切ってクロスにチキータにいけたのは大きかったと思います。勝ちたいという思いが出て、力が入りまくっていたんですけど、まずは思い切って振ることだけを考えました」(三木)

最後は15−13として優勝を決めた三木。「お前の持ち味は攻撃力、両ハンドを振っていくしかないよ」とベンチで背中を押してくれた、野田学園の橋津文彦監督と熱い抱擁を交わした。

ベンチに入った野田学園の橋津文彦監督(右)と三木

パンチ力のある両ハンドが武器の三木だが、一撃で打ち抜く「分厚い当たり」のバックハンドが最大の武器。しかし、そのプレースタイルは正当な評価が得られない部分もあった。「ぼくはずっと『三木は強い』と言っていたけど、左利きでバックハンドが強いスタイルは、どうしても評価されにくい部分があったと思います」と橋津監督は語る。しかし、初の全国大会決勝の舞台で見事にタイトルをつかみ、実力を証明してみせた。

三木の金属音を放つバックハンドは破壊力満点

「ただただ決勝という舞台を楽しみました。今後はシニアの舞台で活躍したい。今年からTリーグ(静岡ジェード)にも入団させていただいたし、試合に出られれば活躍して自分をアピールしたいです。将来は野田学園の先輩方のように、国内外の大会で活躍できる選手になりたいですね」(三木)

表彰式での三木。父・尚さんは大阪・上宮高卒で、実業団のリコーでも活躍。母・朋子さんは「岸田三姉妹」の次女で、仙台育英学園高OGという卓球家族

★北海道インターハイ卓球2023 特設ページはこちら

関連する記事