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東京五輪卓球

鉄壁の陳夢、孫穎莎を下して女子シングルス金メダリストに輝く

●女子シングルス決勝
陳夢 -9、6、4、-5、4、9 孫穎莎

 

女子シングルス決勝は、初出場同士の中国対決。気迫のプレーを見せた陳夢が孫穎莎を4-2で下して優勝し、見事金メダルを獲得した。決勝にふさわしいハイレベルな戦いだった。

同士討ちの決勝で、自らを鼓舞し、最高のプレーを見せた陳夢

第1ゲーム出足は、互いにフォア前へのサービスからの展開で一進一退。一発の威力に勝る孫だが、ラリー戦でもパワーで得点。最後は長いラリー戦を孫が制して雄叫びを挙げての1ゲーム先制。2ゲーム目も孫が出足から気迫を全面に出して5-3とリード。しかし陳が1点を返し、初めて大きな声を出す。反撃開始だ。互いにミドルを突いてからのラリー展開となったが、ラリーに強い陳がペースを握ってゲームを奪い返す。第3ゲームもその流れのまま、陳がカウンターや台上勝負、サービスなどが冴えて11-4。

流れが陳に行った場面、第4ゲーム開始前に、孫がシャツを着替えるためにインターバル。これも気持ちを整理して流れを変えるための戦術か。加えて陳はそれまでと逆横回転となる巻き込みサービスを使い始め、それが効く。ラリーにさせない早い攻めを見せて、11-5でゲームカウント2-2に持ち込んだ。

その豪打で準決勝まで1ゲームも落とさず勝ち上がってきた孫。同士討ちに惜敗も、初出場の五輪で存分に暴れた

これで五分五分となった第5ゲーム。陳は2-3から4本連取。孫のパワードライブを、ボディーワークを使ってのカウンターなど素晴らしプレーを見せて4本連取、声を上げて気迫を全身で表した。そこからはラリー戦での鉄壁のブロックからの攻撃という、完全に陳のペースの展開で11-4。続く第6ゲームも出足から気迫十分の陳は、ラリーで得点を重ねる。孫もバックドライブの回転量に変化をつけて食らい付くが、流れは変えられず。陳は9-8から、孫の猛攻をブロックでしのいでマッチポイント。1本返されたが、最後ゴールドメダルポイントの10-9の場面で、3球目攻撃で得点、大きな声を上げ力強く拳を握った。

鉄壁のブロック力を誇り、ラリー戦での圧倒的な強さを誇る陳夢と、男子レベルのパワードライブを誇る孫穎莎。柔と剛の対決は、柔に軍配。両者素晴らしいプレーを見せたが、気迫と戦術に勝る陳夢がわずかに上回り、五輪初出場でシングルス金メダルという快挙を成し遂げた。

激闘を終えた両者は、試合後に笑顔で抱擁。ふたりで中国国旗を広げた。混合ダブルスでは決勝で日本に敗れたが、女子シングルスにおいては中国は強さをまざまざと見せつけ、その威厳を保った。

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