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3月7〜20日にシンガポール・OCBCアリーナで開催された『シンガポール スマッシュ 2022』。男子シングルスは樊振東（中国）、女子シングルスは陳夢（中国）が優勝して初代チャンピオンの称号を獲得し、中国が全5種目を制覇して大会を終えた。
男子シングルスでは宇田幸矢（明治大）が準々決勝でチウ・ダン（ドイツ）をゲームオールで破り、準決勝でも樊振東と大接戦を演じたが、惜敗。4回のゲームポイントを奪った4ゲーム目を14ｰ16で落とし、6ゲーム目も5ｰ0のリードを守り切ることができなかった。しかし、昨年11月の世界選手権個人戦、今年1月の全日本選手権と早いラウンドで敗れた宇田の大躍進は、日本男子にとっても明るいニュースだ。
準決勝で樊振東（中国）と接線を演じた宇田幸矢（Photo：WTT）
宇田を破って決勝に進出した樊振東は、「天敵」馬龍と相まみえた。快調に2ゲームを先取しながらも、巧みな球質の変化と全盛期を彷彿とさせるパワードライブに3ゲームを連取され、6ゲーム目も中盤でリードされて苦境に立たされた樊振東。しかし、最大の武器であるバックハンドで勝負を懸け、渾身のバック連打で馬龍の鉄壁の攻守を上回った。
昨年11月の世界選手権個人戦では、決勝でモーレゴード（スウェーデン）を破って優勝した樊振東。しかし、この大会には馬龍は出場しておらず、昨年8月の東京五輪・卓球競技の決勝で敗れたリベンジは果たせないままだった。今大会、ハイレベルな頂上決戦を制し、「今日はリードされることが多かったけど、気持ちがブレることはなく、1点ずつ積み重ねることができた」と精神面の充実を語った樊振東。改めて健在ぶりを示した馬龍も、このままでは終わらないだろう。
地元ファンが見守る中、「天敵」馬龍を破って優勝した樊振東（手前）（Photo：WTT）
女子シングルスは、準々決勝で石川佳純（全農）と早田ひな（日本生命）が敗れ、ベスト4は中国が独占。昨年の世界選手権個人戦と同じ顔ぶれとなった。準決勝・決勝の3試合がすべてゲームオールという壮絶な同士討ちの中、決勝で陳夢が王曼昱との「女王対決」を制して戴冠した。
この優勝で世界ランキングポイントを2000ポイント獲得し、最新の世界ランキングでは1位に返り咲くことが決定的となった陳夢（2位は1400点／3位は700点を獲得）。「世界ランキング1位に返り咲くことができてとてもうれしいですが、私たちの実力は伯仲（はくちゅう）している。今回は私のプレーが少しだけ良くて、少しだけ運が良かっただけ」と語っている。
準決勝で王芸迪、決勝で王曼昱をゲームオールで破って優勝した陳夢（奥）（Photo：WTT）
WTTグランドスマッシュの初代王者となった樊振東（右）と陳夢（Photo：WTT）
男女ダブルス決勝は、宇田幸矢／戸上隼輔（明治大）と早田ひな／伊藤美誠（日本生命／スターツ）が決勝に進出。ともに準優勝となった。宇田／戸上は1・2ゲーム目とも先に10ｰ9でゲームポイントを握りながらジュースで落とし、惜しくも敗れたが、世界選手権3位の実力を見せた一戦だった。男女シングルスおよびダブルスの上位結果は下記のとおり。
〈男子シングルス〉●準々決勝
宇田幸矢（明治大） ｰ11、7、ｰ9、5、6 チウ・ダン（ドイツ）
梁靖崑（中国） 8、7、9 K.カールソン（スウェーデン）
馬龍（中国） ｰ5、6、4、ｰ9、7 林昀儒（チャイニーズタイペイ）
樊振東（中国） 4、7、8 フランチスカ（ドイツ）
●準決勝
樊振東 9、ｰ7、7、14、ｰ11、9 宇田幸矢
馬龍 5、9、4、8 梁靖崑
●決勝
樊振東 6、6、ｰ6、ｰ9、ｰ8、8、7 馬龍
〈女子シングルス〉●準々決勝
王芸迪（中国） 9、10、ｰ12、10 ユエン・ジアナン（フランス）
陳夢（中国） 8、ｰ9、0、7 石川佳純（全農）
孫穎莎（中国） 9、7、9 早田ひな（日本生命）
王曼昱（中国） 10、8、2 ポルカノバ（オーストリア）
●準決勝
陳夢 3、11、ｰ9、4、ｰ10、ｰ8、8 王芸迪
王曼昱 ｰ7、10、ｰ9、10、9、ｰ12、8 孫穎莎
●決勝
陳夢 9、ｰ8、9、8、ｰ6、ｰ9、8 王曼昱
〈男子ダブルス〉●決勝
樊振東／王楚欽（中国） 10、10、ｰ12、7 宇田幸矢／戸上隼輔（明治大）
〈女子ダブルス〉●決勝
王曼昱／孫穎莎（中国） 4、6、4 早田ひな／伊藤美誠（日本生命／スターツ）
宇田（手前）／戸上は樊振東／王楚欽とも互角のラリー戦を演じた（Photo：WTT）
女子ダブルス表彰、優勝した孫穎莎／王曼昱（奥）と準優勝の早田ひな（手前左）／伊藤美誠（Photo：WTT）
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