10月27日から、フランス・モンペリエで行われている男女シングルスのトーナメント「WTTチャンピオンズ モンペリエ2026」。5日目の31日には準々決勝が行われ、それぞれベスト4が決定した。
日本勢では、早田ひな・張本美和・佐藤瞳の女子3名が準々決勝を戦ったが、このうち早田の戦いぶりが際立った。
早田は過去の戦績がシングルスで21戦全敗という中国のエース・孫穎莎(世界ランキング2位)との対戦。ゲームカウント0-2の劣勢から2-2に追いつき、その後互いが1ゲームずつを取り合った試合は、最終7ゲーム目にもつれ込んだ。序盤は孫穎莎のパワーボールに押され気味だった早田だが、中盤以降はカウンターやバックサービスからの3球目攻撃が冴え、最終ゲームも9-9となる超・大接戦に。しかし、最後は早田のバックサービスを見切った孫穎莎がレシーブから2本を連取し、スリリングなこの試合に終止符を打った。
孫穎莎に対し、「過去イチ」と言っていいベストファイトを見せた早田に対し、フランス・モンペリエの観衆も「HINA!」コールでそのプレーを熱狂的に後押し。わずかに対・孫穎莎初勝利には届かなかったが、9月にアジア競技大会で対戦した後に「本当の意味での『試合の駆け引き』の舞台にやっと立てた」と語っていた早田自身の感触が、紛れもなく本物であることを証明した見事な一戦だった。

バックサービスからの3球目、チキータからの連続バックハンド攻撃などで孫穎莎を追い詰めた早田ひな。本当に紙一重の惜敗だった

勝ち切れなかった悔しさと、よく戦ったという自己肯定感の狭間で、試合後の早田は涙と笑顔の両方を見せた

苦しい試合を耐え抜いて勝利をつかみ取った孫穎莎(右)は、ベンチで馬琳監督から労いと祝福を受けた
その後、張本美和は蒯曼と対戦。ゲームカウント2-2までは互角の内容だったが、5ゲーム目以降に突き放され、2-4で敗れた。攻撃と守備、先手と後手を自在に切り替えて、張本を翻弄した蒯曼の巧さが目立った試合となった。
カットマンの佐藤瞳は、世界ランキング1位の王曼昱を破るなど、今大会好調の陳熠との勝負に臨んだ。1ゲーム目を佐藤がジュースの末に落とすと、2ゲーム目からは陳熠が余裕を持って攻撃とストップを織り交ぜてくるようになり、佐藤は打開策が見出せない。カウンターや攻撃も精度を欠き、残念ながら0-4のストレートで敗戦となった。陳熠は9月のアジア競技大会団体戦決勝で、同じカットマンの日本・橋本帆乃香に完敗していたが、万全に対策・修正を行ってきたように感じられた。
なお、準々決勝のもう1試合は中国勢同士の対戦で、王芸迪が陳幸同にフルゲームの熱闘の末に勝利。この結果、ベスト4はすべて中国選手という結果になった。
●女子シングルス準々決勝
孫穎莎(中国) 7、9、-9、-11、8、-9、9 早田ひな(日本)
蒯曼(中国) -9、8、2、-6、9、6 張本美和(日本)
陳熠(中国) 10、5、6、4 佐藤瞳(日本)
王芸迪(中国) 6、-7、-7、5、4、-12、10 陳幸同(中国)

中盤までは互角に戦っていた張本美和だったが、蒯曼の目まぐるしい戦術変更にペースを乱され、離されてしまった

自分から攻めるプレー、カウンターで待つプレー、しっかり守るプレーを自在に使い分けて戦った蒯曼。このところのレベルアップには目を見張るものがある

ジュースで競り負けた1ゲーム目を取れなかったことで流れを失い、陳熠に敗れた佐藤瞳。カット対策をしっかり講じてきた相手に対しては、やはり一筋縄では勝つことが難しい

1ゲーム目の難局を乗り切ったことでプレッシャーが解けたか、2ゲーム目以降は伸び伸びとプレーして佐藤に完勝した陳熠
一方、男子準々決勝では、勝ち残っていた中国選手3名がすべて敗れ、ベスト4はブラジル・韓国・スウェーデン・ドイツというバラエティ豊かな顔ぶれとなった。
特筆すべきは会場の雰囲気。地元フランスの選手が前日までに姿を消している中、モンペリエのオーディエンスはどの国の選手に対しても好プレーには歓声を上げて拍手を送り、非常に良い空気感を作り上げている。WTTの興行の中でも屈指のクオリティと言われるモンペリエ大会は、今年も最高の盛り上がりを見せている。
●男子シングルス準々決勝
カルデラノ(ブラジル) -5、4、4、-8、5、9 シドレンコ(ロシア)
張禹珍(韓国) 6、-11、9、10、8 梁靖崑(中国)
モーレゴード(スウェーデン) -1、8、-3、7、-5、7、8 林詩棟(中国)
フランチスカ(ドイツ) -13、5、-7、9、9、-10、10 周啓豪(中国)

カルデラノはシドレンコの挑戦を退ける。ここまで余裕を持った戦いぶりを見せており、有力な優勝候補と言えるだろう

フルゲームになると無類の強さを発揮する梁靖崑を4-1で仕留めた張禹珍。今大会、徐々に調子を上げてきており、ダークホース的存在になっている

アジア競技大会チャンピオンの林詩棟をフルゲームの激闘で破ったモーレゴード。モンペリエの観衆を完全に味方につけており、このまま優勝まで突っ走れるか

周啓豪をゲームオールジュースで破ったフランチスカ。「準ホーム」とも言えるヨーロッパの地で、持ち前のパワーと勝負強さを存分に見せつけた
本日11月1日は大会最終日。各試合の開始時刻は下記のとおり(すべて日本時間)
●女子シングルス準決勝
19:00〜 陳熠(中国) vs. 蒯曼(中国)
19:45〜 王芸迪(中国) vs. 孫穎莎(中国)
●男子シングルス準決勝
20:30〜 カルデラノ(ブラジル) vs. 張禹珍(韓国)
21:15〜 モーレゴード(スウェーデン) vs. フランチスカ(ドイツ)
●決勝
25:30〜【女子】
26:30〜【男子】
写真:WTT
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