準々決勝でドイツを3-1で下した日本男子。準決勝の相手は、パリ五輪銀メダルのスウェーデンを3-2で破ったチャイニーズタイペイに決まった。
ドイツ戦後、ミックスゾーンに現れた岸川聖也監督は、興奮を抑えながら静かに試合を振り返った。 「(張本)智和が最高のスタートを切って、チームに勢いを与えてくれた。1番の試合としては最高のプレーでした。(松島)輝空は昨日まで5試合ほど戦い、フェリックス(・ルブラン)に勝つ一方でいくつか敗戦もありました。本人は『良くも悪くもない、でももっとできるはずだ』という感覚を持っていたようですが、僕も彼の実力はあんなものではないと思っていた。今日のチウ・ダン戦はプレー内容もメンタルも良く、チームとして2-0にできたのが大きかったですね。『ネガティブなことは捨てよう、コート上ではポジティブに行こう』という話は智和と輝空に伝えていました」
2-0と最高の滑り出しを見せた日本だが、3番の戸上隼輔が誤算だった。グループリーグで勝利していたフランチスカに1-3で敗れ、日本ベンチに緊張が走る。 「戸上の3番(の結果)には少し驚きました。スタートから自信がなさそうで、体も動いていなかった。メンタルの問題ですね。2-0の勢いで押し切るべきでした。調子が悪い中で頑張ってはくれましたが、今日の内容では厳しかった」
しかし、4番で負の流れを断ち切り、勝利を決定づけたのはエースの張本だった。 「4番の智和は『自分で絶対に決める』という強い気持ちで戦ってくれた。前回の負けを忘れたかのような試合内容でした。第1、第2ゲームともに2点差の接戦で、もし1ゲームでも落としていたら分からなかった。そこをしっかり3-0で勝ちきれたのは、彼のメンタルの素晴らしさです」

日本男子のベンチ。左が岸川監督
いまだ出場機会のない篠塚大登と宇田幸矢について話が及ぶと、監督はこう説明した。「二人には『申し訳ない』と伝えました。序盤で使う予定もありましたが、リーグ戦からベストメンバーで戦わざるを得ない流れになり、トーナメントでも負けられない戦いが続いています。二人はいつ呼ばれてもいいよう準備を整え、出番がない時もベンチでのサポートや練習相手を懸命にこなしてくれている。しっかり話をすると、二人とも『分かっています』と言ってくれました。あと2試合、オーダーを考えながら戦い抜きます」
2大会ぶりのメダル獲得を決めた日本男子。次なる目標は決勝進出、そして悲願の金メダルだ。 「(メダル獲得は)素直に嬉しい。準決勝もチャンスのある戦いになる。明日はしっかり休み、練習も積んで、あと2試合、今日のような試合ができれば自ずと結果はついてくる。チーム一丸となって臨めば勝てると思っています」
決勝進出を念頭に「あと2試合」と語った岸川監督。準決勝の相手、チャイニーズタイペイにはグループリーグで3-0と勝利しているが、その際は相手のエース・林昀儒が温存されていた。スウェーデンを破って勢いに乗り、格上を食うべく捨て身で挑んでくる相手は手強い。
だが、ドイツ戦で見せた張本・松島の攻撃的なプレーに加え、戸上が本来の力を発揮すれば、勝利のチャンスは大いにある。女子の活躍が注目されがちな日本卓球界だが、群雄割拠の男子卓球において、着実にメダルを勝ち取った功績は大きい。日本の卓球ファンは、彼らが頂点に立つ瞬間を待ち望んでいる。

スウェーデンを破り勢いに乗るチャイニーズタイペイ
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