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日本男子を消耗させた「ステージ1A」。その激闘をどう語り継げばいいのだろう

こちらロンドンは、5月4日の朝7時。いかにもロンドンのイメージにぴったりな、文句のつけようのない曇り空が広がっている。

5月2・3日と、男女とも「ステージ1A」の3試合を戦い終えた日本チーム。日本男子のグループ2は大混戦。結局、ドイツとフランスに2敗を喫しながらも、グループ2位で第3・4シードの位置にドローされた。

日本男子はドロー時の世界チームランキングは4位だったので、結局チームランキングどおりの場所に収まったことになる。3試合合わせて7時間17分という試合時間を費やして。初戦のドイツ戦は3時間3分、3戦目のフランス戦は2時間42分を要した。

昨夜のフランス戦の直後は、もう大会が終わってしまったような気になった。そしてドローが終わって一夜が明けてみれば、2日間の激闘は一体何だったのだろうと感じる。

負けても敗退はないが、決勝トーナメントのドローに関係する以上、流して無気力なプレーをするわけにもいかない。ある意味「巧妙」な試合方式の中で、選手たちは時にアスリートとしての闘争本能を剥き出しにしてぶつかりあった。そして疲弊した。

フランス戦3番でプレーする戸上隼輔

世界チャンピオンの王楚欽は、右足に大きなテーピングをしながらプレー。スウェーデン戦で2勝を挙げたが、チームは敗れて「空砲」に終わり、今後のプレーへの影響が懸念される。ドイツのフランチスカも股関節を傷めたようなしぐさを見せていた。

中国としては、本来なら序盤は王楚欽を温存したかっただろう

右足のつけ根を何度も叩き、股関節を傷めたようなしぐさを見せていたフランチスカ

昨日の試合後、張本智和はステージ1Aを戦う選手の心境をこう語っている。「みんな試合は勝ちたいし、4位通過したくないから必死にやるけれど、メダル決定のような必死さは絶対どこの国もない。でも負けていいわけでもない」。

「第8シード以下のチームは一昨日試合を終えていて、ぼくたちは強い対戦相手と戦ってまた明日から試合。番狂わせを起こしたいのかもしれないけれど、よくこのルールが通ったなと思うくらいです」。張本のコメントは的を得ている。ステージ1Aを戦った多くの選手の心情を代弁するものだろう。

フランス戦トップでは会心のプレーを披露した張本

大会の序盤からハイレベルな試合が続出し、テレビでの中継も確かに盛り上がる。しかし、昨日の男子のフランス戦にしても、中国が同じラウンドに出場しないこともあり、観客の入りはまばら。本来なら上のラウンドで、満員の観客の中でやってもらいたい試合だった。

日本対フランス戦での観客席。フランスのファンの熱い応援はあったが、かなり寂しかった

エキシビションマッチのようなステージ1Aの戦いで、歴史的な中国の2敗と、日本男子の激闘をどう後世に語り継げばいいのだろう。「変則的な試合方式だったけど」と前置きをつけて語るのか。

100周年の記念大会だからこそ、平等な条件で、アスリートファーストで行うべきではなかったのか。日本チームを含め、トップチームの選手に大きな故障がでないことを願う。

積極的に起用され、韓国男子の「シンデレラボーイ」になった呉晙誠。若手選手では、この試合方式を追い風にしたケースもある

 

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