●男子シングルス準決勝
モーレゴード(スウェーデン) −8、−8、6、8、−10、8、5 ボル(ドイツ)
樊振東(中国) 5、4、9、−8、11 梁靖崑(中国)
スウェーデンの19歳、モーレゴードがボルをゲームオールで破り、破竹の快進撃で決勝に進出した。
これで今大会で戦ったシングルス6試合のうち、実に4試合が4-3のゲームオールというモーレゴード。2回戦で荘智淵(チャイニーズタイペイ)に4-3、3回戦でフランチスカ(ドイツ)に4-3、さらに4回戦で林鐘勲(韓国)にゲームカウント0-3からの大逆転で4-3……。まるで名勝負製造機だ。
準決勝で対戦したボルは、昨日のジャー(アメリカ)戦から左脇腹をかばうしぐさを見せ、何度も顔をしかめている。過去に故障や体調不良での棄権が多いボル、「また途中で棄権してしまうのでは?」と心配されたが、モーレゴード戦でも回り込みの攻撃時などに時折小さな悲鳴をあげながら、最後まで戦い抜いた。
ボルのループドライブの回転量、カウンターのフォアドライブの精度は健在だったが、モーレゴードは強烈なバックプッシュや横殴りに打つフォアスマッシュなど、鋭利なナイフのような速攻を披露。以前とスタイルが大きく変わったわけではないのだが、プレーに一切迷いがない。プレーに迷いがないということは、用具に迷いがないのだろう。六角形の「サイバーシェイプ」ラケットが、その進化に寄与していることは間違いない。
それにしても、これほどの活躍を大会前、誰が予想できただろうか。……なんて、専門誌としては少々恥ずかしい表現を使ってしまいたくなる。あとは中国選手、しかも飛び切りの選手である樊振東に対し、その創造的な速攻プレーがどこまで通用するか。
ちなみにボル戦で勝利した瞬間、「今度は何をやってくれるのか」とコートサイドでカメラを構えていたのだが、モーレゴードはむしろ冷静だった。両手を高々と掲げた後、ひざまずくお決まりのポーズこそ披露したものの、過度な感情の表現はなかった。そこにあったものは「欧州の帝王」ボルへの敬意ではなかったか。
決勝の対戦カードは、24歳の樊振東と19歳のモーレゴード。馬龍から王座を引き継ごうとしている中国の天才と、北欧の鬼才の激突だ。樊振東は準決勝で、前回大会の4回戦で敗れた梁靖崑に4-1できっちりリベンジ。要所ではたとえミスが出ても回り込む、覚悟のあるプレーを見せている。
樊振東にとって、天敵・馬龍が欠場した今大会は絶対に優勝しなければならない大会。相当な重圧を感じているはずだ。台上から精緻なプレーを見せる樊振東の優位は動かないが、モーレゴードが大逆転勝利を収めた林鐘勲戦のように粘り強く戦うことができれば、わずかな隙が見えてくるかもしれない。
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