中国がベスト4を独占した女子シングルス準決勝は、東京五輪女王の陳夢をゲームオールで下した王曼昱と、伊藤を破って勝ち上がった王芸迪に勝利した孫穎莎が決勝進出を決めた。年齢は王曼昱が1歳上だが、2017年世界ジュニア決勝をはじめ、各年代で火花を散らしてきた宿命のライバル、そしてダブルスでは最良のパートナーだ。
陳夢と王曼昱の一戦は、大型の攻撃選手同士の締付けあうようなラリー戦。相手をフォアに飛ばし、ストレートを突いて空いたバックをつぶそうとしても、互いに中陣からバックドライブでしっかり対応し、またラリーの主導権を引き戻す。女子選手としては異次元とも言える戦いだった。その中で、地道に体幹と下半身の筋力を鍛え、わずかなチャンスボールもすかさず回り込んで攻めた王曼昱が僅差で勝利した。
孫穎莎対王芸迪戦は、バックハンドの攻撃力、連続攻撃のピッチの早さ、打球のスピード、どれをとっても孫穎莎が一枚、二枚上手だった。一昨日、会場の片隅で孫穎莎がストレッチをしているところを目にしたが、股関節周りの柔軟性が素晴らしく、「あの連続パワードライブの源はここなのか」と納得した。打球後に身体が左右に倒れやすい王芸迪に対し、孫穎莎はコマが高速でクルクルと回るように、体の軸をまっすぐ保ったままで連続攻撃ができる。
明日の女子シングルス決勝は、間違いなく女子卓球の最先端を目撃する一戦となるだろう。一体、何度感嘆のため息が漏れるだろうか。
●女子シングルス準決勝
王曼昱(中国) −9、−7、8、6、−11、9、8 陳夢(中国)
孫穎莎(中国) 8、−3、8、6、8 王芸迪(中国)
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