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世界卓球2021

【世界卓球】大本命・樊振東が見せた横綱相撲。24歳、ようやくつかんだ世界の頂点

男子シングルス決勝

樊振東(中国) 8978 モーレゴード(スウェーデン)

 男子シングルスを制したのは現世界ランキング1位、大本命と見られた樊振東。快進撃を見せて決勝へと勝ち上がってきたモーレゴードをストレートで下し、念願の世界選手権初優勝をつかんだ。

 モーレゴードの大胆かつトリッキーなプレーにも、樊振東は動じなかった。サイドスピンを入れたツッツキや乗せるように打つフリック、相手のリズムを崩すバックプッシュに横殴りのフォア強打など、モーレゴードの得意技の数々を正面から受け止める。愛1ゲームを奪うと、そのまま第2、3ゲームも連取して一気に王手。第4ゲームはモーレゴードがリードを奪っていたが、今日の樊振東に崩れる気配はない。中陣から迫力あるバックドライブを連発するなど、じわじわと点差を詰めていって逆転、10-8とマッチポイントを握ると、バックストレートへのカウンターブロックでノータッチを奪い、華麗に優勝を決めた。

懐の深いプレーで若手を一蹴

様々なパターンで崩しにかかったモーレゴードだったが、力及ばず

 

 2013年大会に中国男子史上最年少で出場するなど、若くして高い期待を浴びた樊振東だが、これまで世界選手権、五輪でのタイトル獲得はなし。24歳にして初のビッグタイトル獲得となった。今大会は樊振東にとって天敵の馬龍が欠場。優勝へ向けてのチャンスが大きくなる一方、タイトルを逃すことの許されないプレッシャーも大きかったはず。その中で4回戦から準決勝まで中国勢との同士討ちに3連勝し、決勝でもダークホースを完封。高いレベルの攻守で相手の挑戦を「受けて勝つ」、世界王者にふさわしい戦いぶりだった。

 ただ、今回の優勝は樊振東にとっては通過点。優勝を決めた瞬間も喜びは控えめで、試合後の会場インタビューでも穏やかな表情で、淡々と答えていた。

 「優勝できてとてもうれしいのですが、これが私にとっての終点ではありません。今回の世界選手権を通じて、より高いステージに進むことができるようにしたい」(樊振東)

 世界選手3連覇も果たした馬龍も、初優勝は26歳の時と決して若くはなかったが、そこから世界選手権を3度、五輪を2度制した。馬龍と同じように、24歳で世界タイトルをつかんだ樊振東も、選ばれた者しか経験することのできない頂点へのジレンマを払拭し、ここから偉大なるキャリアを築いていく可能性がある。

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