●男子シングルス準々決勝
ボル(ドイツ) -4、5、10、7、-9、7 ジャー(アメリカ)
モーレゴード(スウェーデン) 11、8、-2、4、-12、7 アルナ(ナイジェリア)
樊振東(中国) -8、7、5、8、9 林高遠(中国)
梁靖崑(中国) -8、-12、-8、8、4、8、8 カルデラノ(ブラジル)
男子シングルスでのメダル確定1番乗りを決めたのは40歳のボル。2011年大会の3位以来、実の10年ぶり2度目の準決勝進出を果たした。地元アメリカの21歳・ジャーと対戦したボルだが、序盤から左脇腹付近に痛みを抱えている様子で1ゲーム目を奪われる。そこから2、3、4ゲームを連取したが、長いラリーを避けるためか一発で決めにいくような攻めが目立ち、ドライブを連打した際に呻き声を発し、ベンチでも患部に氷を当てるなど、万全のコンディションではないことは明らかだった。左右に揺さぶる戦術にシフトしたジャーに対して苦戦し、5ゲーム目を奪われたが、ベンチのロスコフ監督からの鼓舞もあり、6ゲーム目は痛みを押し殺してのドライブ連打で勝利。試合中は苦悶の表情でのガッツポーズも見せたボルだが、最後は10年ぶりのメダル確定に会心の笑顔。レジェンドがレジェンドたる所以を見せつけた。
敗れたジャーも、地元開催の世界選手権でベスト8入りと大健闘を見せた。ボルとの試合では会場のファンから大ボリュームの「USA!USA!」コールが鳴り響く中、2ゲームを奪って食らいついた。まだ21歳、この世界戦での経験を糧にさらに大きく羽ばたいてほしい才能だ。
ボルに続いて準決勝進出を果たしたのは19歳のモーレゴード。多彩なサービスとトリッキーな台上プレーから、バックプッシュにカットブロック、さらに横殴りに放つフォア強打が次々に決めるなど、規格外の身体能力を誇るアルナのでさえも対応できない予測不能のプレーを披露し4-2で勝利。試合後は「アンビリーバブル!」という表情を浮かべていたが、今大会は荘智淵(タイペイ)、フランチスカ(ドイツ)、林鐘勲(韓国)、そしてアルナとビッグネームを次々に撃破。19歳となり、ジュニアを卒業してシニアへ闘いの場を移す中、早々と結果を残してみせた。
モーレゴードは明日の準決勝でボルと対戦する予定だが、ボルの故障の具合によっては不戦勝も考えられる。40歳の欧州の皇帝と、欧州の未来を担う北欧の鬼才のカードは実現するのか。
今大会第1シードの樊振東は4回戦の王楚欽に続き、同じ中国代表、さらに左利きの林高遠と対戦。1ゲーム目から2ゲーム目の中盤まで、林高遠のチキータに苦しめられた樊振東だったが、サービスを散らしながら両ハンドのカウンターを炸裂させて逆転勝利。念願の初優勝へと向け、またひとつ大きな関門を越えた。
そして準々決勝で最ももつれたのが梁靖崑vs.カルデラノ。序盤はカルデラノがスパークし、キレのある動きから強烈な両ハンドドライブを次々に厳しいコースへと打ち込んで3ゲームを連取。だが、梁靖崑がメリハリをつけた台上とボールの緩急でカルデラノの強打を防ぎ、なんとか4ゲーム目を奪い返すと、試合の流れは変わっていく。ゲームが進むにつれてカルデラノが強打を放つ展開が減り、ミスも目立つようになる。一方の梁靖崑は随所で威力あるバックドライブを叩き込み、勝負を最終ゲームへと持ち込んだ。観客席から絶叫にも近い両選手への応援のコールが飛び交う中、最後は梁靖崑が逃げ切って2大会連続のベスト4進出。重圧から解放された梁靖崑は勝利の瞬間ベンチへと走り、喜びを爆発させた。
準決勝で対戦することとなった樊振東と梁靖崑だが、前回大会では梁靖崑が勝利している。樊振東は4回戦、準々決勝、準決勝と同士討ちが続く厳しい闘いだが、ここを乗り越えてタイトルをつかんでこそ、真の世界王者として認められるだろう。
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