●女子シングルス2回戦
早田ひな 5、4、3、4 Ah.ムケルジ(インド)
石川佳純 12、5、4、7 ピッコリン(イタリア)
平野美宇 5、9、9、14 タカハシ(ブラジル)
伊藤美誠 3、9、4、11 アカシェバ(カザフスタン)
芝田沙季 3、−7、−11、4、5、−6、6 エーラント(オランダ)
●女子シングルス3回戦の対戦カード
石川佳純 vs. ペソツカ(ウクライナ)
平野美宇 vs. バラゾバ(スロバキア)
早田ひな vs. メシュレフ(エジプト)
伊藤美誠 vs. 芝田沙季
大会2日目の最終戦、サブアリーナの第2コートで行われた芝田対エーラント戦が終了した時、時計の針は23時20分を指していた(デジタル表示ですが)。芝田は最終ゲーム6−6からエーラントを突き放し、「言葉が出ないです、本当に苦しい試合だった」という壮絶なラリー戦を制し、見事に3回戦進出。日本女子は5名全員がベスト32に進出し、明日の3回戦へ駒を進めた。ランキングから言えば順当かもしれないが、日本男子での波乱の連続を見れば、世界選手権では何が起きるかわからない。
最初に登場した早田は、フォア表ソフト・バックアンチのブロック主戦型、ムケルジを粉砕。「ジャパンオープンで当たったことがあって、表ソフトとアンチの飛び方の感じはわかっていた。その時とはボールが違うので、最初はサービス・レシーブも様子見で入った」と試合後に語ったが、相手にチャンスを与えない一方的な試合展開だった。それでも「体幹を意識することを心がけて、常に60〜70%の力で打つようにしている」というから驚きだ。これから調子を上げていくうえでは格好の相手だったかもしれない。3種目エントリーの早田にとってはあっという間に試合を終わらせられたのも大きい。
続く石川は、張本が敗れた第2コートで直後の試合。試合前、フロアの片隅で、じっと張本のプレーを見つめる石川の姿があった。「相手選手は失うものがないから、それがプレーに出てきますよね。張本くんは18歳であれだけ世界ランキングが高くて、みんな向かってくるから、すごくプレッシャーが大きかったと思います」。かつての自分と重ね合わせるように、試合後に張本の心境を察した。「大きい大会になればなるほど何があるかわからないと張本くんの試合を見ていても思うので、気を引き締めてプレーしました」(石川)。
対戦相手のピッコリンはバックハンドの強い選手だが、「オリンピックの時よりもバックハンドを自信を持って振っていきたい」という石川が落ち着いてストレート勝ちを収めた。
ブラジルの日系プレーヤーで、日本での武者修行を行うなど日本とも縁の深いタカハシと対戦したのは平野。長身のタカハシの3球目攻撃は威力満点で、ラリーにも強い選手だが、競り合いながらも平野がミスのないプレーで要所を締める。「自分から点を取りに行く気持ちをもっと大事にしないといけない」と試合後に反省の弁を語った平野だが、「ハリケーン・ヒラノ」からひと皮むけた姿を今大会で見せている。
そして日本女子で唯一、1台のみのメインアリーナに登場したのが伊藤だ。対戦相手のアカシェバとは、ジュニア時代に対戦経験があるとのことだが、ほぼ初対戦に等しい相手。伊藤の連打にボールが合うと意外なほどしつこく返球してきた。攻撃力はほとんどなく、逆に伊藤もペースをつかみにくかったのかスコアは競ったが、4ゲーム目を13-11で制してストレート勝ち。
ミックスゾーンで記者の質問に対し、開口一番、「今日は昼寝できました。1時間半くらいできて最高にうれしかったです」と満面の笑顔で語った伊藤。夜も9時間ほど眠れているが、さらに昼寝をして「寝れば寝るほど動きます(笑)」。どこでもしっかり寝られるのは、間違いなく一流選手の条件だ。
対戦したアカシェバからは、ミックスゾーンで記念撮影を求められ、カザフスタンのお菓子を記念に受け取っていた伊藤。同年代のプレーヤーだが、東京五輪混合複金メダリストの伊藤はアカシェバにとっては「雲の上の存在」なのかもしれない。金メダリストになって、それだけ注目度や相手からのプレッシャーも増してくるが、「相手はどんどん向かってくると思いますけど、私も向かっていくことが大事。金メダルを獲った実感も全然ないですし(笑)」と意に介さない伊藤。明日の3回戦はチームメイトの芝田との対戦となる。
ツイート