●女子シングルス決勝
王曼昱(中国) −11、7、−6、6、8、15 孫穎莎(中国)
1999年生まれの王曼昱と2000年生まれの孫穎莎、中国代表の同世代2人の戦いとなった女子シングルス決勝。試合は序盤から速いピッチでのバックドライブの打ち合い。両者とも細かなコース変更や時折緩いボールも混ぜながらチャンスをうかがってはフォアサイドへ仕掛け、それに対応してさらにラリーが続く、スピードとパワーにあふれた「これが世界女子最高峰」という超ハイレベルな戦いとなった。
ゲームカウントを1-2とリードされた王曼昱だったが、4、5ゲームを奪い返して優勝に逆王手。6ゲーム目は孫穎莎がゲームポイントを握れば王曼昱が取り返し、王曼昱がチャンピオンシップポイントを握れば孫穎莎が取り返す白熱した展開。両者が「異次元」と言えるレベルの超高速ラリーを繰り広げたが、最後は王曼昱に軍配があがり、初の世界王者、そして女子ダブルスとの二冠達成となった。
ワールドツアーに出始めた頃は、長身で一発の威力もあるが、体の線が細く、左右に揺さぶれると体勢が崩れやすく、連打の安定性に欠ける印象だった王曼昱。しかし、年々フィジカルはたくましくなり、フォアドライブ連打の迫力も増した。東京五輪では当初リザーブの予定だったが、団体戦スタート直前に急遽エントリー変更され、金メダル獲得に貢献。今大会では東京五輪シングルス金メダリストの陳夢、同銀メダリストの孫穎莎を連破して初のビッグタイトルを手にしたが、その経験こそが王曼昱を選手としてさらなる高みに導くはずだ。
「優勝できたことは非常にうれしく、とても興奮しています」と試合後の王曼昱。女子ダブルスではパートナーとして2連覇を達成し、シングルス決勝でも激闘を演じたライバルの孫穎莎についてこう語った。
「今日の試合に敗者はいません。孫穎莎と私はほぼ同じ年齢ですが、切磋琢磨して努力できるような関係です。それはお互いが成長するために非常に良い影響を与えてくれています。今日の彼女のプレーは非常に良かったと思います。私と彼女をサポートしてくれるすべての方々に感謝します」(王曼昱)
また、伊藤美誠、平野美宇、早田ひなにとっても王曼昱、孫穎莎の2人は同年代。これから数年、日本の前に立ちはだかる強力なライバルとなるが、彼女たちを倒さなければ世界の頂点には立てない。超えるべき目標は高いが、パリ五輪までの3年間で彼女たちとの距離をどう縮めていくか。
ツイート