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世界卓球2024

無念、日本男子は大健闘を見せるも中国に敗れ、ベスト8で終戦

●男子第2ステージ・準々決勝
 〈中国 3−0 日本〉
◯樊振東 −11、10、10、6 松島輝空
◯王楚欽 −8、2、7、6 張本智和
◯馬龍 9、5、−9、9 篠塚大登
樊振東 ――― 張本智和
王楚欽 ――― 松島輝空

日本男子、トップ松島輝空をはじめ、出場した3選手が中国男子のベストメンバーを相手に健闘を見せるも、1勝には惜しくも届かず、0−3で敗戦。前回の成都大会の3位に続くメダルはならず……!

16歳の松島輝空を思い切って2点起用した田㔟邦史監督。事前のオーダー交換では、中国がエースを1・4番で使えるABC、日本がXYZとなったこの試合。エース張本をトップで起用し、試合の流れを作りたかった日本だが、「エースを5番に置くと相手に余裕を持たれてしまう。張本はやはり4番において置きたかった」(日本男子・田㔟邦史監督)と、2・4番に張本を起用。トップは松島と樊振東の対戦になる。

日本男子にとって、初めてのメインアリーナでの試合。しかし、トップ松島はその重圧など微塵も感じさせない、自信に満ちたプレーを披露。威力と回転量のあるチキータで樊振東のサービスを次々に狙い打ち、樊振東のフォアをバックのカウンターで打ち抜く。1ゲーム目、7−10のビハインドから4回のゲームポイントを奪われながら12−11と逆転し、チキータでレシーブエース。両手を広げて雄々しく吠えた。

強力なチキータ、樊振東のフォアを打ち抜くカウンターを連発した松島

試合前は「楽勝」ムードに包まれていた中国応援団も、次第に固唾を飲んで見守るようになったこの一戦。樊振東のプレーに全く余裕はなかったが、次第になりふり構わず、体勢を崩しても松島のボールを1本でも多く返していく。松島は2ゲーム目も6−10から10−10に追いつきながら、最後は樊振東にチキータを決められて10−12。3ゲーム目も松島は8−4のリードを奪ったが、8−5で樊振東が床に落ちそうなボールまで腰を落としてフォアで拾って得点。樊振東が12−10と逆転でこのゲームを奪う。

4ゲーム目は少しずつ樊振東に余裕を持たれ、中盤で離されて最後は11−6で樊振東。27歳の世界王者を土俵際まで追い詰めた松島だが、「あと1本」は取らせてくれなかった。

1番の樊振東にアドバイスをする中国男子の王皓監督。その形相から必死さが伝わってきた

打球点が落ちても低く腰を落とし、粘り強くボールを返してきた樊振東

2番の張本が、松島のプレーを見て燃えないはずがない。王楚欽のフォアサイドをえぐるようなバックのカウンターを1ゲーム目から連発し、11−8で奪取する。

しかし、2ゲーム目以降、王楚欽は強烈なチキータで先手を取り、ラリーでは張本のミドルに効果的にボールを集めていく。逆にミドルを突かれたボールに対する、王楚欽のボディワークを使ったフォア強打は強烈だった。サービス・レシーブから早いタイミングで先手を取られ、中盤から混ぜられた巻き込みサービスへの対応にも苦しんだ張本。競り合いながらも3ゲームを連取され、1−3で惜敗。3番の篠塚対馬龍に回る。

ラリーでは互角以上に勝負できていた張本だが、サービス・レシーブでやや苦しんだ

王楚欽は世界No.1の快速球の持ち主だ

1ゲームを先取した松島と張本に対し、篠塚は馬龍の正確なバックブロック、打たせて取るフォアのカウンターに苦しみ、2ゲームを連取された。しかし、3ゲーム目からはレシーブで無理に攻めず、馬龍が確実にラリーに持ち込むところを鋭いバックのカウンターで狙い打ち、11−9で奪取する。

馬龍も篠塚も戦術眼に優れ、自分からの強打だけでなく相手にうまく打たせて得点を狙うタイプ。戦術マスター同士の「会話」のようなラリーが続き、4ゲーム目も篠塚は9−7とリードを奪ったが、馬龍の攻守は崩れず。最後はレシーブドライブでエースを取られ、11−9で勝利した馬龍が固く拳を固めた。

馬龍との駆け引きは見ごたえがあった篠塚

勝利の瞬間、拳を固めた馬龍。苦しい戦いだったことがうかがわれた

「良い試合ができたと思います。選手たちは最後まであきらめず、勇気を持って堂々と戦ってくれた」とミックスゾーンで語った田㔟邦史監督。個々の選手についての課題を口にしながらも、未来への展望は明るいと語った。

「今後非常に楽しみな、若い選手が揃ってきた。後ろで試合を見ていて、非常に面白いなと感じました。あと数年すれば中国に勝てるんじゃないかという可能性を示してくれる試合内容でした」(田㔟監督)。馬龍が間もなく引退、世界王者の樊振東も故障がちで、ややプレーに陰りも見える中、若い日本チームが全力でぶつかり、前回に続いて中国を本気にさせた一戦だった。

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