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世界卓球2024

チャイニーズタイペイの男子監督、「イーさん」こと偉関晴光さんが語った張本智和の成長

昨夜の日本男子対チャイニーズタイペイ戦で、チャイニーズタイペイのベンチに入ったのは偉関晴光さん。卓球界では「イーさん」の愛称でお馴染みだ。元中国代表で1988年ソウル五輪の男子ダブルス金メダリスト、日本に帰化してからは2000年世界選手権団体3位、2000年シドニー五輪代表、全日本選手権4回優勝などの実績を持つ。

指導者としても、自らが経営する偉関TTLで妻・絹子さんとともに指導に当たり、JOCエリートアカデミー男子監督などを歴任。2022年から林昀儒のプライベートコーチとなり、さらに昨年チャイニーズタイペイ男子チームの監督にも就任している。

日本戦で林昀儒にアドバイスを送る偉関さん

JOCエリートアカデミーで指導していた頃から、張本智和や松島輝空のプレーをよく知っており、最近では林昀儒のコーチとしてTリーグの木下マイスター東京のベンチにも入っている偉関さん。日本卓球の今も昔も知り尽くした偉関さんがチャイニーズタイペイのベンチにいるのは、正直怖かった。しかし、その偉関さんにとっても、張本や松島のプレーは想像以上だったようだ。

「張本くんの出来(でき)が良かったですね。彼があそこまで良いとは思っていなかった。動きが良くなったし、特にミドルの処理が素晴らしかった」。ミックスゾーンで開口一番、そう語った偉関さん。

「張本くんのミドルの処理は今回、ほぼ完璧な状態だった。私の想像以上でした。林昀儒の調子は決して悪くなかったです。最近、強化練習もしていたし、Tリーグでの勝率も高かった。張本くんとは相性もそんなに悪くないけど、1ゲーム目を取られてちょっと気持ちが整理できなかったところがある。ネットやエッジでも不運なところがあり、流れが変わってしまいましたね」(偉関さん)

林昀儒は張本戦の最終ゲーム、出足から0ー8と離されて敗れた

3番でプレーした松島輝空についても、「最後の5ゲーム目、9ー9での2本のレシーブには(松島の)すごい成長を感じた。びっくりしましたね」と語った偉関さん。5ゲーム目、9ー6のリードから9ー9に追いつかれ、荘智淵のサービス。松島にとっては苦しい場面だったが、冷静にレシーブからラリーを組み立て、最後はフォアハンドの強打を決めた。

荘智淵戦のラスト、9ー9からレシーブで2本取り切って勝利を決めた松島

日本に敗れたチャイニーズタイペイだが、グループ5の2位で確実に決勝トーナメント進出を決めるだろう。2位通過のチームは各グループ3位のチームと決勝トーナメントの初戦を戦い、勝ち上がれば2回戦(ベスト8決定戦)で各グループ1位のチームと戦う。1位通過のチームにとっては、絶対に下に入ってきてほしくないチームだろう。

中国、日本、そしてチャイニーズタイペイ。卓球を架け橋に、エネルギッシュに指導を続ける偉関さん。速報担当の編集部タローも、技術監修の取材などで偉関TTLに何度通ったかわからない。日本と同様、オリンピックの団体出場権獲得を目指すチャイニーズタイペイ。日本の良きライバルが、今大会でともにオリンピックへの切符を手にできることを願っている。

偉関さんが「ほぼ完璧」と語った張本のミドル処理。勝敗を分けたひとつのポイントだった

 

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