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全日本卓球2025

“打てるペン粒女子” 阿部陽鞠。独自の攻守自在のプレーに期待

サービスから反転しての3球目フォアスマッシュ。最初、記者席から遠目で見たときはペン表ソフト速攻選手かと思ってしまった。しかし、相手のフォアクロスへのドライブに対して反応よく前陣フォアカット。その後もブロックからフォア攻撃につなぐプレーに光るものを見せた“打てるペン粒(ペン粒高+裏ソフト攻守型)”が、全日本卓球ジュニア初出場の阿部陽鞠(四学香川西高)だ。

ジュニア女子1回戦では、小島和愛(青藍泰斗高)に対して主導権を握り、2-1とゲームをリード。しかし、4ゲーム目から小島がていねいにつなぎつつ、思い切った攻撃を見せて逆転。阿部は惜しくも初戦突破はならなかった。

「途中から相手に慣れられて、相手のペースになってしまった。やっぱり1回勝ちたかったです。今後はバックの守備力を強化していきたいです」(阿部)

小学2年から卓球を始め、小学6年でペン粒に転向。そして公立中の強豪として知られる愛媛県今治市立日吉中から、四学香川西高に進学。2023年に神戸松蔭女子学院大を卒業した秋山有紀さんが監督に就任したのと同じタイミングで阿部が入学し、秋山が阿部を指導して2年近くとなる。

「攻めることができるペン粒は貴重な存在なので、その長所を生かしながらブロック力を強化していきたい。長いラリーで点を取ることができる選手なので、逆に3球目、5球目など、短いラリーでの得点力強化も目指したいですね」(秋山監督/下写真)

秋山監督

左足前(右利き)という構えのスタンスも、ペン粒としては珍しい。フォア攻撃主戦型のスタイルがベースにあり、そのうえで“打てるペン粒”という独自のスタイルが成り立っているのかもしれない。コクタク『パスビー』(中国式ペン)にVICTAS『カールP1V OX』(粒高)という、守備重視、変化重視の用具にもかかわらず、これほどの攻撃力を見せる点はすばらしい。攻守自在のオールラウンダーとして、今後の成長に期待がかかるプレーヤーだ。

●ジュニア女子1回戦
小島和愛(青藍泰斗高) 6、-9、-6、7、5 阿部陽鞠(四学香川西高)

★ジュニア女子記録

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