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インターハイ2022

日本リーガー、母校に帰る。30歳の青年監督率いる福井商業はベスト16で新たな船出

 今日行われた男子学校対抗3回戦で、粘りを見せながらも静岡学園に敗れ、ベスト16で大会を去った福井商業。昨年度までチームを率いた橋邊一祐前監督の後を継ぎ、今大会のベンチに入ったのが服部泰朗新監督だ。

監督として初めてのインターハイに挑んだ服部泰朗監督

 

 結婚したことで苗字が「服部」に変わったため、名簿を見た時には気づかなかったのだが、服部監督の旧姓は「中尾」。明治大を経てJR北海道でも活躍した元日本リーガー・中尾泰朗である。4年前に母校の福井商業で講師を務めるようになり、2年前に正採用で教員に。そして今年度から母校の監督に就任した。JR北海道で現役を引退した後のキャリアについてはいろいろと考えていたというが、教員として母校で卓球部を指導する道を選んだのは、恩師である橋邊前監督の存在が大きかったと語る。

 「大学で教員免許も取得していたので、学生の頃からJRでプレーしている時まで、橋邊先生に『福井に戻って一緒にやらないか』とずっと誘ってもらっていました。実際に現役を引退して、そこまでぼくを必要として、誘ってくれているのなら『やるしかない』と思って福井に戻って教員になると決めました」

 

 監督として初めて挑んだインターハイでベスト16という成績を残したが、それについては開口一番、「悔しいですね」と振り返った。

 「やっぱり緊張感はありましたし、気合も入りました。もう一つ、二つ上を目指していたのでベスト16、0-3負けという結果は悔しいですね。アドバイスにしても、自分でやるのと、選手に伝えるのでは全然違う。どういう言葉で伝えるべきなのか、難しさも感じました」

静岡学園戦でも奮闘した山本/寺下

 

 福井商業といえば、通算32回の学校対抗出場を誇る強豪校。歴史ある母校の監督を務めるプレッシャーもある一方で、さらに上を目指したいとも語った。

 「(母校の監督を務めることは)責任感は本当に感じます。伝統あるチームですし、正直に言ってぼくにできるのかという不安もあります。今は橋邊先生に助けてもらってやっている感じですけど、まだまだ勉強が必要ですね。福井商業はベスト16が最高成績なので、まずはその壁を破りたい。そこからベスト8、ベスト4を狙えるチームに育てていきたいと思っています」

 今大会の男子学校対抗で、ベスト16以上に進んだ公立校は福井商業と長野工業の2校のみ。私立校隆盛の時代に、男気あふれる30歳の青年監督のもと、公立の雄が新たなスタートを切った。

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