卓球王国 2024年11月21日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
インターハイ2022

「どうせ負けるなら思い切って」。開き直った鈴木/萩原、神がかりの逆転勝利

●男子ダブルス決勝
鈴木颯/萩原啓至(愛工大名電) ー5、ー9、8、8、6 徳田幹太/木方圭介(野田学園)

ゲームカウント0−2の2−5、まさに絶体絶命のピンチから、タイムアウトを機に神がかりの逆転勝ちを収めた鈴木/萩原ペア。優勝後のフロアの片隅で、優勝インタビューに応じてくれた。

男子ダブルス決勝直後の鈴木/萩原の優勝インタビュー

「決勝は出足から全部やられてばかりで、正直勝てるとは思っていなかった。でも0−2の2−5でタイムアウトを取った時に、どうせ負けるならツッツキやストップじゃなくて、チキータやフリックでいって思い切ってやって負けようと。それで流れが変わったのが勝因だったと思います」。3年生の鈴木がそう語れば、2年生の萩原は「タイムアウトを取った時は自分の中では負ける覚悟をしていた。やることもない、自信もないという状態のタイムアウトだった。そこからはあまり覚えていないし、今でもなんで勝てたんだろうと実感がないです」とコメント。ふたりとも「夢覚めやらぬ」という表情だった。

名電ペアの歓喜の抱擁と、無念の野田学園ペア。くっきりと明暗を分けた

大逆転勝利に天を仰いだ鈴木

決勝の2ゲーム目までは我慢・我慢のプレー。木方の一撃のチキータと徳田の切れ味鋭いカウンターの前に、防戦一方に追いやられていたが、中盤から開き直った鈴木に当たりが出た。最終ゲームは、それまで手を焼いていた木方のチキータを低く速い縦回転サービスで封じ、時にそのチキータを狙い打つなど、確かな技術力も見せた。

「本当に負ける覚悟をしていたからこそ、なんで勝ったんだろうと……。ダブルスですけど、個人としては全国で初タイトルなので、うれしすぎて親に恩返しできたなと思います。このダブルス優勝のために頑張ってきたので、良かったです」(萩原)。
「啓至(萩原)とは今年初めてダブルスを組んで、愛知県予選も1位で通過できて、インターハイ優勝を目標にずっとやってきた。啓至がインターハイではサービス・レシーブの工夫が大事だと言って、携帯電話のメモにいろいろなサービスの種類のメモを取っていて、昨日の夜にそれを送ってきて『明日優勝しましょう』と言ってくれた」(鈴木)

愛知県予選を1位通過した実力を見せた鈴木/萩原ペア

3ゲーム目のタイムアウトを境に、あまりにくっきりと明暗を分けた両ペア。惜しくも敗れた徳田/木方は、キャプテンの徳田が「2−2の0−7でも圭介には笑顔で接して、まだあきらめないぞという姿勢を見せたかった。3ゲーム目の5ー2でのタイムアウトからは、相手よりも自分たちが変わってしまったことのほうが大きい」と語った。「自分たちが相手ペアより良いペアをして、崩していくのが自分たちの良さ。3ゲーム目から打球点を落として入れにいくプレーが多かった。もっと前についてプレーするべきだった」(徳田)。リベンジの舞台は、明日の学校対抗か?

木方(左)のチキータが驚異の決定率を見せた徳田/木方ペア

関連する記事