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インターハイ2022

笑顔で戦い抜いた夏。赤江夏星が乗り越えた「8の壁」

11日間に及ぶ大会の最後に、今大会のベストゲームが待っていた。

女子シングルス決勝で大藤沙月をゲームオール14ー12で下し、頂点に立った赤江夏星。最終ゲームのジュースの場面で、大藤のフォアサイドを切る厳しいボールに食らいつき、フォアクロスにエッジでねじ込んだ一本には驚かされた。ボールがフロアに落ちるまで、決してあきらめない。その驚異的な粘り強さは、試合を進めるごとに相手に少しずつプレッシャーを与えていったのではないか。

厳しくフォアを攻められても食らいついた赤江。決まったと思われるようなボールを何本も返した

2018年度の全日本カデット・14歳以下で2位に入っているものの、これまで全国大会ではたびたび準々決勝で敗れてきた赤江。今年1月の全日本ジュニアでも、年下の張本美和(木下アカデミー)に敗れてベスト8に終わっている。

準々決勝の青井さくら(明徳義塾)戦では、ゲームカウント2ー1から追いつかれた最終ゲームに0−3とリードを許したが、「普段ならあきらめてしまう場面ですけど、(ベスト)8の壁をどうしても乗り越えたいという気持ちが強くて、我慢して強気で攻めていけました」と試合後に語った。

決勝で対戦した大藤は、大阪府予選では2ー3で敗れている相手。ゲームカウント1ー2とリードされた4ゲーム目、6ー9と絶体絶命のピンチを迎えたが、本人曰く「あまりリードされているという感覚はなかった」という。「最初から決勝というより、『この場で試合をしている』という感じ。緊張もあまりしていなかったです。私は守る卓球ではなく攻める卓球。最後は強気で攻めていけたので良かったです」(赤江)。

最終ゲームの12ー11の場面では、準決勝の横井戦でラストを締めた、「ずっと練習してきた」というバックストレートへのバック強打を狙ってミスが出たが、13ー12の4回目のマッチポイントでは、バック対バックで粘り強くラリーを展開して得点。この切り替えの早さも見事だった。

赤江の優勝の瞬間。最後の1本は粘り強くバックハンドで攻めた

ベスト8の壁を乗り越えたことで、「準決勝の横井選手との試合の時から力が抜けていたし、大藤さんとの決勝も出足から強気でプレーできました」と赤江は語っている。「8の壁」を越え、同年代のツートップとして自らの前に立ちはだかっていた横井と大藤を連破しての戴冠。この優勝が大きな自信となることは間違いない。

「次の大きな試合は全日本の一般になると思うんですけど、まだランクに入ったことがないので、今回の優勝で満足せずにランク入り、それ以上を目指して練習に励みたいと思います」(赤江)

シングルスのベンチに入った上澤(左)、シングルス3位の由本とともに表彰式で記念撮影

優勝まで「あと2本」から敗れた大藤は、昨年インターハイ決勝で6回のマッチポイントを逃したリベンジを果たすことはできず。「横井さんと3冠をかけて決勝でやるつもりで来ていた。準決勝で横井さんが負けてしまったので、自分が必ず勝ちたかったんですけど、負けてしまって悔しいです」と決勝後に語った。回転・コース・緩急と総合的なボールの質の高さは、やはり大会No.1。この失意の敗戦を、世界へと飛躍する糧にしてほしい。

大藤のバックハンドの技術力はワールドクラス。この敗戦を飛躍のきっかけにしたい

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