今大会の学校対抗でともに初の3位入賞を果たした出雲北陵と育英。準決勝では愛工大名電と野田学園という男子高校卓球界の2強に挑むも決勝進出はならず。両校の監督に試合後に話をうかがった。
出雲北陵は今春を含め高校選抜では2度3位に入賞。インターハイではベスト8が過去最高成績だったが、今大会では上宮、静岡学園に3-2で勝利して初の表彰台に上がった。勝利まであと1ゲームに迫り、愛工大名電を今大会もっとも苦しめた。古瀬泰之監督は「しつこく粘り強く、泥臭く」のスタイルを体現した選手たちを讃えた。
●出雲北陵・古瀬泰之監督
「(3位は)選手の頑張りに尽きます。この1年は私が教えることよりも、選手に教えてもらうことのほうが多かった。選手の努力が報われて、指導者としてはすごくうれしい気持ちです。
(愛工大名電戦は)高校選抜の時は『当たって砕けろ』という試合になってしまったので、今回は『ちゃんと勝負をしよう』と。ハードルは高いかもしれないけど、勝つために最大限のチャレンジをしようと話しました。要所要所で勝つために自分たちでトライしてくれて、目標の日本一には届かなかったけど、最善は尽くすことができたと思います。
選抜でもそうでしたけど、今大会はウチらしいというか、楽に勝てる試合はひとつもなくて、逆転勝ちだったり、競った中で勝ったりという試合ばかり。その中で鍛えてきたダブルスが軸になって全員で3点取って勝ち上がるという戦い方はウチらしさが出せたかなと。
(選手から教えられたことは)私のほうからはいつも「しつこく粘り強く、泥臭く」と言っているんでけど、彼らがそういうプレーを体現してくれて、今日の愛工大名電との試合だったり、中国大会でよく対戦する野田学園との試合でも、そういうプレーをすれば勝機はあると選手たちが教えてくれた。ウチの選手はみんな頑張り屋ですし、シングルスのランキングプレーヤーが一人もいない中でここまで勝ち上がれたので、みんなが気持ちをひとつにすれば強い相手にも立ち向かえるんだということを選手に教えてもらいました」
ここ数年、多くの好選手を輩出し、着実にチームとしての実力をつけてきた育英。青森山田から中央大へ進み、東京アートでもプレーした田中雄仁監督が就任して10年目の今年、念願の3位入賞を果たした。過去のインターハイではベスト16が最高成績だったが、今大会の2回戦では第3シードの明徳義塾を破り、一気にブレイク。来年以降も新鋭として注目のチームだ。
●育英・田中雄仁監督
「高校選抜でベスト8に入って野田学園さんと対戦させてもらった時(2018年度大会)は、『悔しい』という気持ちより『よくここまで頑張った』という達成感のほうが大きかった。今回も同じような気持ちになるかと思っていたけど、『悔しい』という気持ちのほうが強いですね。それはチームが強くなって、『もっとやれる』というところまで来た証なのかなと思います。
(2回戦の明徳義塾戦は)逆にチャンスだと選手には話していました。やっぱり、向こうは初戦でこっちは1回試合をしてからやることになるので、2回戦以降のラウンドで対戦するよりは勝つチャンスは大きくなると思っていた。試合内容としては誤算もあったけど、うれしい誤算もありました。ダブルスは必ず取らないと厳しいと話して練習もやってきたけど、そこを落としたのは誤算だった。でも、後半でキャプテンの松井(翔吾)が去年のインターハイでランクに入っている選手(斉藤秀太)に勝ってくれたのはうれしい誤算。当初の予定とは違うけど2-2に持っていくことができて、最後は髙橋(慶太)が勝ってくれたのはすごい良かったかなと思います。
監督になって10年目ですけど、今年が一番強いはず。1年目はインターハイの表彰台なんて夢のまた夢だったんですけど、そこから1年1年、積み重ねてきた結果だと思います。あの頃から考えたらよくここまで来たなと感じますね。準決勝では負けたけど、得たものはゼロじゃなかった。これからそれを少しずつ積み重ねていって、あとふたつ上(優勝)を目指してこれからやっていきたい」
ツイート