男子学校対抗1回戦で屈指の好カード、帝京安積(福島)対関西(岡山)。昨年は2回戦でこのカードが実現し、関西が3−2で接戦を制していたが、今年は帝京安積が3−1でリベンジ。キャプテンにして福島県3冠王、三上俊貴がクレバーな両ハンドのボールさばきで単複2勝を挙げ、チームを勝利に導いた。
ベンチに入った熊谷勝明監督は、インターハイの学校対抗のベンチに入るのは今大会で最後。同校OBで、東京でプロコーチとしても経験を積んだ田巻隼一さんが昨年から顧問となり、「跡継ぎにはいつまでも口出ししたらうるさいから、この大会を最後にしようと決めました」と語った。
学校対抗2回戦の対戦相手は上宮(大阪)。春の高校選抜で敗れている相手で、再びリベンジを狙ったが、上宮のパワーに押され、惜しくも0−3での敗戦。熊谷監督は「やっぱり上宮は強かった」と試合を振り返った。「選手たちには、ここに連れてきてくれただけでありがとうと言いたい。県予選でもライバル校は強いし、『俺はこのインターハイに出たいんだ』とこちらの気持ちを伝えて、この舞台に連れてきてもらいました」(熊谷監督)。
25歳で監督に就任し、監督歴は実に35年。昭和の終わりから平成、そして令和と、少しコワモテの熊谷監督はインターハイの「名物監督」のひとりだった。近年、どのチームも指導者の世代交代の時期を迎えつつあるとはいえ、やはり寂しい気持ちになる。
筆者(編集部タロー)の脳裏に刻まれているのは、少し前になるが1998年の平成10年大会。渡邊隆司(現・木下卓球アカデミーGM)・今福豊というツインエースを擁し、男子学校対抗3位、ふたりで組んだ男子ダブルス3位、シングルスでともにベスト8。その前後にも、多くの名選手を卓球界に送り出してきた。
「選手はずっとぼくの愚痴に耐えながら頑張ってきたからね(笑)。選手たちにずっと言い続けてきたのは、プレーの面では速さや連続性にはこだわってきた。何本強いボールを打っても、返ってきたら次のプレーがあるのが卓球。必ず連続で打てるように、と言い続けてきました。心構えの部分では、スポンサーである両親も含めて、周りの人たちに感謝しなさいと。子どもたちが卒業する時には、必ず『感謝』というフレーズを書いて、『これを忘れるなよ』と伝えてきました」(熊谷監督)
「来年以降も、できる限り会場に来て選手たちを応援できるようにしたい」と語る熊谷監督。明日からスタートする男子ダブルス、続く男子シングルスでも上位進出を期す。
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